<阪神9-4巨人>◇1日◇甲子園

 真弓阪神の攻撃力がスケールアップした。「西村の21球」に沸いた直後の6回裏。電光石火で1点をもぎ取った。先頭の桜井が中前打で出塁すると、大和を代走で起用。初球にすかさず盗塁のサインを出すと、期待に応えて二塁を陥れた。続く代打藤川俊がバントを決め、あっという間に1死三塁の状況を生み出した。「あそこで点が取れないと、流れが向こうにいく。点が取れたのは、非常に大きかった」。このチャンスで代打金本は歩かされたが、マートンの投ゴロで貴重な追加点をもぎとった。

 圧倒的な長打力に、機動力も加わる。真弓明信監督(56)の理想がグラウンドに表れてきた。

 3回には平野が今季初盗塁を決めた。俊足が自慢だが、これまではスタートがうまく切れなかった。「何度走れ、と言ってもなあ」と指揮官も苦笑したことがある。4月24日の中日戦には大和を代走に送り、無言のカツを入れた。「あんな経験は人生で初めてじゃないか」。4番新井にも平気で盗塁のサインを出すほどだから、平野にも勝負をかけてほしかった。昨年から根気強く取り組んできた積極的な走塁が実を結びつつある。足技でも巨人には負けない。【田口真一郎】

 [2010年5月2日11時16分

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