<広島0-5巨人>◇31日◇マツダ
今年も救世主だ。巨人の先発ウィルフィン・オビスポ投手(25)が広島を7回無失点に抑え、約3カ月ぶりの今季2勝目を挙げた。チームの先発投手の勝利は実に17戦ぶり。昨季は故障者の代役として6勝を挙げた右腕が、再び崩壊しかかっていた投手陣を救う快投を見せた。試合はラミレス、脇谷の本塁打などで5-0と完勝し、中日と引き分けた首位阪神との差を0・5ゲームに詰めた。
巨人投手陣の負の連鎖を止めたのはオビスポだった。7回を5安打無失点。7月4日阪神戦で東野が勝って以来、17試合ぶりに先発投手として白星を挙げた。「そういう状況は意識していたし、責任を感じてマウンドに上がった。でも、これで終わり。明日からどんどん勝っていきます」。先発陣を代表するように、連勝宣言で会見を締めた。
救世主伝説に、また1つの勲章が加わった。昨年はクルーン、グライシンガーの離脱により、先発に抜てき。6勝を挙げ、リーグ連覇に貢献した。クライマックスシリーズ、日本シリーズでも先発で白星。ともに育成出身選手では初の快挙で、プロ野球史に新たな記録を刻んだ。
だが「救世主」と称賛する周囲の評価と本人の思いは違っていた。「救世主ではなくて、常にチームの力になりたいと思っている。ポジションはどこだっていい。チームの勝利のために全力を尽くしたい」。派手な出番よりも、1年間フルに活躍できることを強く望んでいた。
思いは普段の行動にも表れた。6月27日、黄志龍の代わりに出場選手登録を抹消。翌日のジャイアンツ球場、いつもと変わらぬ表情で練習に取り組む姿があった。「僕はここでしっかり練習して、チャンスを待つだけ」。2年前、1軍でのチャンスに恵まれず、「自分はチームに必要ない」と下を向いた姿はなかった。
広島のファンにも成長した姿を見せた。昨年4月の広島戦。次の回の登板に備え、ベンチ前でのキャッチボール中に3度も暴投。試合を中断させ、最後は球審にベンチへ下がるよう命じられ、頭をかいた。この日は4四球を与えたが、冷静に後続の打者に対峙(たいじ)。粘り強い投球で、ホームを踏ませなかった。
好投の裏には、原監督の熱い激励もあった。勝利投手の権利がかかった5回2死一、三塁、指揮官が直接マウンドへ。試合後に「少しお尻をペンペンした」(原監督)と表現したゲキを飛ばされた。「監督の信頼に何とか応えたかった」。気合を入れ直し、後続を断った。7月は9勝12敗で3年ぶりに月間負け越しを喫した。原監督は「8月に取り返します」と力強く宣言。オビスポの快投は、8月猛反攻の序章にすぎない。【久保賢吾】
[2010年8月1日8時28分
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