持ち前のスピードは健在だ。楽天の沖縄・久米島キャンプ第2クール3日目の7日、松井稼頭央内野手(35)が今キャンプ初の居残り特打を敢行した。段違いのヘッドスピードで164スイング。半分以上が鋭いライナーだった。ベースランニングのタイム、ノックの捕球→送球動作でも、チーム一速い若手を上回る数値を計測していた。3拍子そろったメジャーリーガーは、走攻守どこを切ってもスピードが桁違いだった。

 小気味の良い音が繰り返された。左打席から、松井稼の打球は面白いように外野の芝生をとらえた。45分間、ほぼ休みなくマスコットバットを振ること164回。半分以上がライナーで“フェアウエーキープ率50%超”。柵越えは6本にとどまっても「ライナー性の強い打球を打つ」という狙いを実行した。

 (1)打撃

 「意識していることの確認。課題を少なくしていかないと」。後半のマシン打撃では打席内で半足、前に移動しながら振った。「体重を残しすぎている」とキャンプ初日から取り組む練習法で「しっかり振る」と内寄りは右へ、外寄りは左へ打ち分けた。

 (2)走塁

 数字が雄弁に語った。この日のベースランニングでは、一塁から三塁への到達がストップウオッチの計測で7秒19。二塁から本塁は7秒20だった。チームトップクラスの俊足、内村は、それぞれ7秒10と7秒22。単純な足の速さに加え、ベースを回る技術も求められる。本西外野守備走塁コーチは「走り方がきれいだから無駄がない。体が出来れば、もっと速くなる」と驚かなかった。

 (3)守備

 遊撃でのノック。二塁へスナップスローしたが、捕球から球を離すまで平均0秒44だった。チームの若手で一番、守備力のある西村は平均0秒49。わずか0秒05の差だが、走者が塁間4秒なら約34センチ進める時間。タッチの差でアウトに出来る。松井稼は「まだまだ改良点はある。しっかり足を使って捕ること」。この日は自主的にノックの量を2倍に増やした。

 星野監督は「40歳まで十分にやれる」と太鼓判を押した。松井稼の哲学は「出来ることを100%やる」。その積み重ねが17年のキャリアであり、この日の練習のすべてに表れた。真摯(しんし)な姿勢が、若い楽天にとって大いなる財産となる。【古川真弥】

 [2011年2月8日9時35分

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