<日本ハム7-2ロッテ>◇12日◇札幌ドーム

 圧巻の日本ハムの本塁打ショーだった。左へ、右へ、バックスクリーンへ…。バッティングセンターと化した札幌ドームは、熱狂の渦に包まれた。

 号砲を鳴らしたのは、お祭り騒ぎには欠かせない4番中田翔内野手(23)の一振りだった。5回、ロッテ渡辺俊の初球を完璧に捉えた。6月27日楽天戦以来の10号2ランを左翼席へたたき込む。5番稲葉篤紀外野手(39)も2ボールからの3球目、真ん中の直球を右翼席へ。1回の先制3ランに続いて2本目の花火を打ち上げた。仕上げは6番陽岱鋼外野手(25)が中堅左へ強烈な1発。3人そろって、お立ち台で「サンキューで~す!」。陽のおはことなっているフレーズを叫び、喜びを表した。

 稲葉と伸び盛りの若手2人は理想的な師弟関係を築いている。前日11日の試合前、稲葉は「力まず、球を呼び込んで逆方向へ」と中田へ助言していた。「僕の(助言の)効果なんて大したことない」と謙遜したが、前日まで21打席連続無安打だった中田は「ストレスを感じた時に声を掛けてくれる。思ったことを話せる環境を作ってくれる」と最敬礼だ。2人の本塁打を目の当たりにして「僕も打ちたいな~という気持ちだった」と喜んだ陽も、年明けの自主トレ期間中に“稲葉道場”に入門し、今季、才能が一気に開花した。

 日本ハムの3者連続本塁打は12年ぶり。本拠地が北海道に移転してからは初めてだ。5カード連続で負け越し中だったが、首位ロッテとの3連戦で2勝1分けでゲーム差は3。夏本番を前に、一足早くお祭りムードに突入した。【中島宙恵】