<楽天5-5西武>◇4日◇Kスタ宮城

 まさかの展開で楽天のクライマックスシリーズ(CS)進出が消滅した。打線は4回までに5得点。先発のブランドン・ダックワース投手(36)は5回2失点と粘投し、継投で勝ちパターンに持ち込んだ。しかし、9回から登板した守護神青山浩二投手(29)が乱調。3連続適時打を浴び、3失点で同点とされた。その裏に勝ち越せず、延長戦に突入しない規定の試合時間3時間半を超え、試合終了。3年連続のBクラスが確定した。

 Kスタ宮城に、ブーイングと悲鳴が響き渡った。同点の9回裏、勝たなければCS進出はない。しかし簡単に2死となる。打席には主将松井が立った。時刻は9時25分を指していた。西武ベンチが動く。投手交代で涌井がコールされたが、なかなか出てこない。涌井が1球投げたあと、今度は中島が一塁の守備に就く。時間稼ぎだった。9時半が過ぎ、主将に希望が託されたが一ゴロで試合終了。4位以下が決まった。それでも星野監督は時間稼ぎを問題視せず、「それより3点を守れなかった方がおかしい」とチームの力不足を指摘した。

 勝ちきれなかった原因は、ストッパー青山の乱調だった。9回表2死一、三塁からヘルマン、中村、オーティズに適時打を浴び同点とされた。中村に対してはスライダーを4球続けた結果、右前に運ばれた。1発を警戒したのか、逃げるボールを続けた。三輪バッテリーコーチは「1球インハイに直球でも良かった。怖いけどね。彼にとっては勉強。これを肥やしにしてほしい」と言及。長打のある打者に対し、攻めきれなかった。

 CS進出を逃した弱さを象徴する試合でもあった。今季は勝負どころでのチャンスを逸するなど、勝てる試合を逃すことが多かった。サヨナラ勝ちで勢いをつけたはずの翌日も敗戦が目立った。チーム内でも「このチームは勢いに乗っていけない」と嘆く声もあった。この試合前の時点でCS進出には5戦全勝が絶対条件だった。9回まで3点リード。押せ押せムードも、最後の最後にしぼんでしまった。

 この日は「がんばろう東北デー」として、東日本大震災で被害を受けた12市町村、約1000人が球場に駆けつけていた。チーム全員が勝利を届けたかったはず。守護神の青山は「こんな形で終わりたくなかった。申し訳ないとしか言いようがない」と言葉をしぼり出すように話した。CS進出は逃したが、まだ4試合を残す。主将の松井は「あとわずか、最後まで全力でプレーします」と誓った。【斎藤庸裕】