黄金グラブを封印する!?

 プロ野球の守備のベストナインを表彰する三井ゴールデングラブ賞が6日、発表された。プロ入り18年目の中日森野将彦内野手(36)は史上最も遅い初受賞となった。球団では2人目となった一塁手としての受賞はうれしい半面、複雑な気持ちも…。森野は「ファーストの練習はもうしません」とキッパリ。そのココロとは…?

 受賞の知らせを聞いた森野は苦笑した。

 「複雑です。ずっとサードで取りたいと思っていたんですけどね。もちろん、ちゃんと守りをやってきたことが評価されて、うれしい」

 プロ18年目にしてようやく「守備のスペシャリスト」の称号を手にした。ところがそのポジションは長年頭に描いていた三塁ではなく一塁。その顔には、うれしさと悔しさが入り交じった。

 栄誉を手にしても信念は曲げない。断言した。「基本、ファーストの練習はしません。トコトン一塁を突き詰めようというのはない」。現時点で来季、守備に就く可能性があるポジションは高い順から一塁、三塁、二塁だろう。それなのにだ。もっともスタメンが保証されるであろう一塁の守備練習をしない。そう言い切った。

 ホットコーナーへの強いこだわりの裏返しだ。前日5日に契約更改した際には三塁レギュラーを狙う20歳の高橋周について「ルナだけじゃなく僕もいるという気持ちで来てほしい」とガツンとかました。

 10年にベストナイン(三塁手部門)を獲得した森野だが、09年から4年連続受賞のヤクルト宮本慎也(現日刊スポーツ評論家)の存在もあり、三塁手としてGグラブ賞は手にすることが出来なかった。脂ののりきった今だからこそ、もう1度チャレンジしたい。

 「今のファーストミットは10年ものなんです。中(身)は入れ替えたけど、皮は04年から使ってきた。もう引退ですよ」。三塁を諦めない。揺るぎない決意を胸に19年目に向かう。【桝井聡】

 ▼中日からは23選手が56度ゴールデングラブ賞を獲得。一塁手に限ると、森野は04年渡辺以来2人目、2度目。球団最多は井端の7度ですべて遊撃。以下、荒木6度(すべて二塁)、谷繁5度(すべて捕手)、立浪5度(二塁3度、三塁、遊撃各1度)と続く。

 ◆竜の内野手争い

 谷繁兼任監督は来季4年目を迎える高橋周に三塁レギュラー奪取を厳命。秋季キャンプでも強化選手に指定した。三塁手として今季115試合で先発出場したルナは来季の一塁起用も準備すると明言。そうなれば森野VSルナの一塁争いの可能性もある。二遊間は20年目を迎える二塁荒木の存在感は絶大。エルナンデス、堂上直、三ツ俣らが遊撃のポジションを争う。