19日にタイで初めてエキシビションマッチを行った元サッカー日本代表FWカズ(三浦知良、55)の次男で総合格闘家・三浦孝太(20=BRAVE)の人気が、東南アジアを中心に海外で爆発している。タイの聖地ラジャダムナンスタジアムにて元K-1ワールドMAX王者ブアカーオ・パンチャメーク(40=タイ)とキックボクシング形式(3分3回)で対戦。3回途中にレフェリーストップで、レジェンドに実力差を見せつけられたが、現地ファンはリトルキングに熱狂。バンコク在住の会社員で、三浦の大ファンだというラリダー・ピンカサーンさん(28)が、仰天の人気ぶりを証言した。【取材・構成=勝部晃多】
試合当日の19日、ムエタイの殿堂に詰めかけた8000人近くのファンから、三浦に惜しみのない拍手が注がれた。登場前にスクリーンに写真が映し出されるだけで大歓声。試合開始前には「コウタ!」の合唱も沸き起こった。一方的な展開にもかかわらず、絶賛された。そもそも、三浦は昨年大みそかにプロデビューしたばかり。そんな若手が、エキシビション戦とはいえ、レジェンドと対戦を実現させること自体が、異例中の異例だった。
なぜ異国の地で、ここまでの人気となったのか。三浦の大ファンという、ピンカサーンさんは、その理由をこう明かす。
「22年の初頭にタイでも有名な動画投稿アプリ、TikTokに、ある1本の動画が投稿されました。デビュー戦でリングに立った彼の笑顔が映し出されていましたが、この動画が大ヒットしたんです。韓国のスーパースター、パク・ボゴムに似ているとも話題になりました。現在ではその動画は1400万人の視聴者に再生されるなど、社会現象になっています」
まず注目されたのは端正なルックスだった。そして、タイのメディアがそのネット人気をこぞって取り上げたことで、一気に知名度に火が付いたという。インスタグラムのフォロワーは現在約73万人で、半数が東南アジアのファンだ。
意外なことに、三浦の父が日本サッカー界のレジェンド「キングカズ」だということを知らないファンがほとんどだったという。
「私も以前まで知りませんでした。彼に興味を持ち始めて、彼の生い立ちを調べた時に初めて、彼がサッカー界のレジェンド三浦知良の息子だと知りました。デビュー戦の勝利後、父親から誇らしげに抱きしめられる映像を編集して投稿したファンもおり、三浦家の愛らしさにも焦点が当たりました」
あくまで、注目されているのは三浦孝太個人。カズは、息子を支える父親として紹介されたというから驚きだ。
大会前からタイの街中でも顔写真が電光掲示板で大きく掲出された。現地メディアには、「コウタ」といえば誰でも知っている存在だと伝えたところもある。老若男女問わず大人気だという報道もあった。ピンカサーンさんも「タイの俳優や女優も、彼が総合格闘家ということを知っています」とうなずき、続けた。「特に若い女の子や性的少数者のLGBTQ+により有名です」。
15日にスワンナプーム国際空港に到着した際は、夜中にもかかわらず、若い女性を中心とする数多くのファンに出迎えられた。現地ファンからは、ブアカーオへ「彼の顔を殴らないでください」というコメントも寄せられた。ピンカサーンさんは「殴られたけど、イケメンでしたね」と笑う。
試合当日、会場の入り口前に、写真撮影用の三浦の顔はめパネルや全身パネルなどが出現。大会チケットの最高額は、6000バーツ(約2万3000円)。現地の格闘技興行としては破格だが、すぐに完売。タイのツイッターで関連ワードがトレンド1位になるなど、感動したファンが続出の様子だ。
「ブアカーオはタイの代表なので両方を応援していましたが、もう一方(三浦)は心の底から応援していました(笑い)。試合は深夜でしたが(現地時間24時前)、この試合を見るために多くのタイ人が待っていました。ブアカーオに勝てなかったことは驚きではありません。でも、試合後のインタビューで悔しそうな表情を見せながらも、結果を受け入れていたこと、そしてブアカーオを慕っていた姿が、さらにファンの心を打ちました」
三浦は大会後、自身のインスタグラムを更新し、タイ語でファンと対戦相手への感謝をつづった。本人も「この、あり得ないような経験を生かしてMMAファイターとして一生懸命頑張っていきます」と話しており、あくまで総合格闘技での頂点取りを見据える。次戦は9月25日、プロ2戦目となるRIZINに臨む。
そんな本人の意志を、現地のファンも分かっているという。ピンカサーンさんは、最後に「総合格闘技のキャリアにおいて、幸せな彼を見たいです。さまざまな経験を積んでタイに帰ってきてほしい。その時は必ず応援に行きます」と話してくれた。三浦の背中には、南国からの温かい強い強い、追い風が吹いている。
◆三浦孝太(みうら・こうた)2002年(平14)5月28日、神戸市生まれ。キングカズとタレント三浦りさ子の次男。兄は俳優の三浦獠太(りょうた)。東京・明星学園高時代はサッカー部に所属したが、17歳の時に格闘技に熱中しプロ格闘家を志す。卒業後は進学せず、宮田和幸氏のジムBRAVEで研さんを重ねる。175センチ、66キロ。

