プロボクシングWBOアジア・パシフィック・ウエルター級王者佐々木尽(22=八王子中屋)が5月16日、東京・後楽園ホールで同級1位ジョー・ノイナイ(28=フィリピン)との3度目の防衛戦に臨むと21日、発表された。

大橋ジム興行フェニックスバトル115大会(日刊スポーツ新聞社後援)のメインで組まれ、空位となる東洋太平洋同級王座決定戦も兼ね、佐々木は同級1位、ノイナイが同級2位に入っている。佐々木にとって昨年7月、左肩腱板(けんばん)断裂の手術を受けて以来の復帰戦となる。

16日に東京・文京区の日本ボクシングコミッションで記者会見した佐々木は「次の試合は相手どうこう、タイトルどうこうではなく、試合できることがうれしい。手術を受けて引退や選手生命が終わったと思ったりした。リハビリと練習でここまで回復して試合できることが幸せです」と率直な心境を口にした。昨年5月の米ラスベガス合宿のスパーリング中に左肩を負傷。同7月の手術を経て現在は60%程度まで回復したという。既に軽めのスパーリングを開始。3月上旬から本格的な実戦練習に入るという。

地道なリハビリとトレーニングを通じ、身体的能力の強化を図った。担当する中屋広隆トレーナーは「スピードはアップしました。それでパンチの破壊力も増していると思う」と太鼓判。所属ジムの中屋一生会長は「ウエルター級で、日本ではある程度の力を出せているが、世界には高い壁がある。5月の試合後は米国で本物とスパーリングさせて彼の位置をみたい。彼の成長度をみてトップレベルをみていきたい」との方針を示した。

世界ウエルター級は、テレンス・クロフォード(米国)が4団体を統一している。創刊100年以上を誇る歴史と権威のある老舗専門誌ザ・リングのパウンド・フォー・パウンド(階級を超越した最強ランキング)で1位にランクされるボクサー。昨年7月、クロフォードが史上初となる2階級での4団体統一に成功したエロール・スペンスJr.(米国)戦も現地視察した佐々木は「壁は高いと思いましたし、ああいう舞台で戦いたいと思った。来年の後半には(世界挑戦を)目指している」と将来的なビジョンも明かしていた。【藤中栄二】