GHCヘビー級王座奪回を目指すプロレスリング・ノアのジェイク・リー(35)は今年1月2日、有明アリーナ大会のメインイベント「丸藤正道VS飯伏幸太戦」後にリングに上がり、マイクを握った。飯伏のコンディションが万全ではなく、飯伏、丸藤双方にとっても不本意な試合となり、ファンのフラストレーションもたまっていた。

ジェイクがマイクで「どれもとても素晴らしい試合でした。その中でメインを飾った2人には拍手を送りたい」と言った次の瞬間「なんて言うと思ったか、この野郎!」と叫ぶとファンからは大きな拍手が起こった。

-あのマイクはどういった経緯だったのか

ジェイク あのマイクに関しては、何か発言ができればなと思って。メインの試合だけ、控室で映像越しにじゃなく、実際にお客さまと同じように生で見てたんです。だからこそ余計に言わなきゃいけないな、とも思いましたしね。

-あのマイクがなければ、ファンも不完全燃焼で1・2を終えていた

ジェイク 実はそういった(有明アリーナ大会うんぬんという)気持ち以上に、私はただ単に来られているお客さまの声を代弁しただけで。私なりの言い方で、口調で。それで少しでもスッキリしたならよかったなっていう感覚なんです。だから(ノアを、大会を)救ったとも思ってないし。

-大会前にはGHCヘビー級王座戦と丸藤VS飯伏のどちらがメインを飾るか、論争のようになっていた

ジェイク あの興行全体がすごく悪かったかっていうと、そうでもないと思ってるんです。セミファイナルのタイトルマッチ(拳王VS征矢学)も素晴らしかったし、個人的にはマサ北宮VS石井智宏(新日本プロレス)。あのシングルだって隠れメインって思うぐらい。そういう試合がすごいちりばめられていて。メインだけコンディションの悪さもあって、ああなっただけで。だからあの興行は私の中では失敗じゃないんですよ。ただ、最後の最後で、あの姿を見せてしまったから、お客さんのフラストレーションがたまってしまった。

-そんな状況で、パッとリングに出ていって、ファンの留飲を下げた

ジェイク あれはでも、本当は言う言葉は違ったんです。セミ、メイン論争があった中でメインを張った2人には拍手を送りたかったんですよ。けど、そうじゃない。その言葉じゃないなって思ったのは、マイクを持って話してる、その途中でした。「拍手を送りたい、なんて言うと思ったか!」、その「送りたい」の瞬間に違うと思って。お客さまが望んでいるのは、この言葉じゃないと思って。そうじゃない「そんなこと言うと思ったか!」っていうこの言葉だと。

-ただ、その言葉の続きに実はジェイク選手の優しさが表れていた

ジェイク 何がお客さまのテンションを下げさせたのかってなったら、今までの(2人の)パフォーマンスを発揮できなかったっていうところにすごい歯がゆさを感じていて。けど自分がもしそのパフォーマンスをやれるのかって聞かれたら、(万全な状態での)丸藤、飯伏のパフォーマンスですよ。いや、できねえなと思って。だから言い方を変えないと、と思って。

-それが、この野郎から続く「あんなウルトラヘビーみたいなリズムで試合やりやがって。そのリズムで試合やっていいのは、こういう俺みたいなデカいヤツなんだよ」という言葉につながった

ジェイク あの試合はすごいゆっくりしたスーパーヘビー級のリズムだったなって思い返して。あの2人がそんな試合して、満足はできないよなって。そういう試合していいのはでかいヤツだけだよなってパッと思って、それを言っただけなんです。そしたら誰も傷つかないと思って。あと、お客さまの前で話すときにすごく私が気を使っているのは、ユーモアを持つということ。常に真剣なことばかり言うとつまんなくなっちゃうんですよ。なので、言葉の節々にユーモアさをどれだけ出すかっていうのが、すごく私の中で意識している部分です。

(その3につづく)

【その3】 「棚橋選手との対戦ですげえなと」