大相撲の元横綱日馬富士関による暴行事件を受け、日本相撲協会は28日、東京都墨田区の両国国技館で臨時の理事会と評議員会を開き、貴乃花親方(元横綱)の処分を協議する。

 複数の処分案が出ており、最も重くても理事解任(降格)の方向で検討することが27日、関係者の話で分かった。

 貴乃花親方は巡業部長でありながら秋巡業中の出来事の報告義務を怠り、協会危機管理委員会による調査協力の要請を何度も拒否したことが問題視されている。同親方は27日、国技館での年寄総会に出席し、報道陣に無言だった。

 理事会メンバーによると、弟子の十両貴ノ岩は被害者であり、最終的に危機管理委の聴取に応じたことから、協会事業への参加を禁じる業務停止や減給にとどめる意見が浮上。理事の解任や選任など強い権限を持つ評議員の一部からは「脇へ追いやる形ではなく、反省を促すけん責でもいい」との私案も出ている。

 相撲協会の懲戒には、軽い順からけん責、報酬減額、出場停止、業務停止、降格、引退勧告、解雇がある。危機管理委関係者は貴乃花親方が自らの行動の正当性を独自の文書や聴取などで主張していることにより、「処分は受け入れないだろう。自分は間違ったことをしていないと言うのだから」と理事会が紛糾する可能性も示唆した。

 相撲協会は関係者を処分した20日の臨時理事会で、高野利雄・元名古屋高検検事長が委員長を務める危機管理委の聴取が済んでいないとして、貴乃花親方の処分を先送りした。同親方は25日に聴取に応じた。

 20日の理事会では、現場の酒席に同席した白鵬、鶴竜の両横綱が減給処分。元日馬富士の師匠だった伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は理事を辞任し、2階級降格で役員待遇委員になった。八角理事長(元横綱北勝海)は残り任期3カ月の報酬を全額返上することが決まった。