2年前に初優勝した時のような相撲が大栄翔に戻ってきました。あの時は、このまま大関に上がってほしいと思っていましたし三役も常連です。ただケガもあったのか押し相撲には不可欠な、突き放し切れないことが多かった印象でした。それが今場所は、当たってからしっかり手先でなく突き放せているし、二の矢の攻めも踏み込んで前傾姿勢を取れています。だから相手に体を起こされないし動きを止められない。この日の佐田の海戦は、突っ張るだけでなく、たぐられてもヒジをうまく使って押し込んでいます。

言葉でうまく表現できない技術の難しさが、押し相撲にはあります。ごまかしが利かず、1つ歯車が狂うとバタバタとリズムが崩されるのも押し相撲です。だから何場所も続けて安定した成績を残すのは難しい。今の大栄翔は、優勝した時のように自分の感覚で相撲を取れています。15日間、この感覚を通すのは、なかなか難しいところで、そこに押し相撲の優勝の価値があると思います。1敗の5人のうち4人が押し相撲です。後半に入り疲れも出ますが、勝って気分的に乗っていけるのも押し相撲です。四つ相撲の力士がどう立ちはだかるか、優勝争いが面白くなりそうです。(日刊スポーツ評論家)