日本相撲協会は25日に春場所(3月12日初日、エディオンアリーナ大阪)の番付編成会議を行う。この時点での最大の注目は、落合(19=宮城野)が新十両に昇進するかどうか。初場所で、幕下15枚目格付け出しデビューした落合は、7戦全勝で優勝。大相撲史上初となる所要1場所での十両昇進となる可能性が高い。

落合が幕下優勝を果たした初場所13日目時点では、ほかの力士の成績が確定していなかったため、十両と幕下の昇降格が見通せなかった。22日に千秋楽を終えたため、より予想がしやすくなっている。結論から言えば、十両昇進の可能性はかなり高い。そもそも日本相撲協会には「幕下15枚目以内の全勝力士は十両昇進の対象とする。ただし番付編成の都合による」との内規がある。

幕内は42人、十両は28人という定員があり、十両以上の70人が関取と呼ばれる。関取になると給料が与えられ、付け人が付く。相撲界で一人前として認められる。この差は大きい一方、番付はほかの力士との兼ね合いで決まるため、運に左右される一面がある。

初場所中、西前頭12枚目の隠岐の海が引退し、関取の座が1つ空いた。十両の成績を見ると、西13枚目で5勝10敗の魁勝、東11枚目で5勝10敗の千代栄は幕下への陥落が濃厚。西10枚目で5勝10敗の照強も危うい。つまり、3、4枠が空くとみられる。

幕下上位の成績を見ると、東筆頭の玉正鳳が4勝3敗とし、新十両昇進が確実。15枚目格で全勝の落合は、昇格優先順位で玉正鳳に準ずるとみられる。このほか、東2枚目で4勝3敗の友風、東5枚目で5勝2敗の塚原も有力だ。つまり、成績だけを見れば、落合の新十両昇進が十分ありえる状況だ。

2000年9月に幕下15枚目格付け出しと同10枚目格付け出しが制定された。入門前に全日本選手権、全国学生選手権、全日本実業団選手権、国体(成年男子)のいずれかを制すれば15枚目格付け出しの資格を得られ、全日本+別の3大会いずれかの2冠以上なら10枚目格付け出しとなる。これまで23人がその資格を得てきたが、デビュー場所で全勝したのは1人だけ。2006年夏場所、下田(のちの若圭翔)が15枚目格付け出しで7戦全勝優勝を果たした。この時は、十両からの陥落力士が2人にとどまり、4勝3敗だった東西の幕下筆頭が昇格。下田は番付運に恵まれなかった。

今回の落合は、十両と幕下の昇降格を考慮してみても、特に懸念はない。15枚目格付け出し制度ができてから所要2場所で関取になったのは、成田(のち豪風)、内田(のち普天王)、遠藤、逸ノ城、御嶽海、矢後の6人だけ。この最速記録を落合が抜くことになる。

審判部による番付編成会議は、25日午前9時から両国国技館にて行われる。通常なら、同10時前ごろに十両昇進力士が発表される。その後、新十両力士は記者会見を行う。昇進と同時に改名を発表するケースもある。宮城野親方(元横綱白鵬)の弟子でもある落合は、何鵬になるのか? 頭髪は丸刈りに近いだけに、まげを結うころには番付はどこまで上がっているのか? 「令和の怪物」とも称される有望株が、節目の日を迎える。【佐々木一郎】

◆落合哲也(おちあい・てつや)2003年(平15)8月22日、鳥取・倉吉市生まれ。小学生の時にサッカーに打ち込み、ポジションはFWとGK。父・勝也さんに勧められ、鳥取・成徳小学4年から相撲一本に。鳥取城北高2、3年時に高校横綱。高校卒業後、肩の治療のために角界入りを遅らせ、22年9月に全日本実業団選手権を制し、幕下15枚目格付け出しの資格を得た。179センチ、156キロ。得意は突き押し、左四つ、寄り。