日本相撲協会が25日に春場所(3月12日初日、エディオンアリーナ大阪)の番付編成会議を行い、初場所で幕下15枚目格付け出しデビューし7戦全勝優勝した落合(19=宮城野)の新十両の昇進が決まった。

落合は「自分自身も1場所で上がれるとは思わなかった。次の3月の大阪で関取をめざそうと思っていた。うれしい気持ちと、感謝の気持ちと、身の引き締まる気持ちでいっぱいです」と喜びをかみしめた。

日本相撲協会には「幕下15枚目以内の全勝力士は十両昇進の対象とする。ただし番付編成の都合による」との内規がある。

今場所の落合は7戦全勝優勝した。15枚目格付け出しとしては2006年夏場所の下田(のちの若圭翔)以来となる2人目の全勝優勝で、現行制度では史上最速かつ昭和以降では初めてとなる所要1場所での十両昇進の可能性が高まっていた。

それでも落合は「上がれなかったという前例があったので、自分の気持ちの中で来場所に向けて精進していこうと思っていました」。この日、同部屋の関係者から吉報を届けられ、「あんまり実感がなかったんですけど、関取に上がれたんだなとうれしい気持ちです」とようやく肩の荷が下りた。

2000年9月に幕下15枚目格付け出し制度ができて以降、所要2場所で関取になったのは、成田(のち豪風)、内田(のち普天王)、遠藤、逸ノ城、御嶽海、矢後の6人だけ。この最速記録を落合が抜いた。

落合の昇進は、師匠の元横綱白鵬の宮城野親方にとってもうれしい知らせとなった。昨年7月に宮城野部屋を継承してから、同部屋で初の新十両誕生。28日に控える自身の引退相撲に向けて、愛弟子から最高のプレゼントがもたらされた。同親方は「これ以上のおみやげと感謝はない。落合に感謝したい」と愛弟子の頑張りに目を細めた。

晴れて関取の仲間入りを果たしたが、まだ19歳。丸刈りに少し毛が伸びた程度ではまげはもちろん、十両以上ができる大銀杏(おおいちょう)を結うことすらまだ先になりそうだ。角界入りしたばかりで相撲教習所に通いながら、来場所に向けて準備を急ぐ。その先行きは明るく照らされている。

将来について「宮城野部屋で強くなって幕内で優勝することで師匠を泣かせることと、相撲を始めたときから夢だった横綱になりたい」と力強く誓った。【平山連】

◆落合哲也(おちあい・てつや)2003年(平15)8月22日、鳥取・倉吉市生まれ。小学生の時にサッカーに打ち込み、ポジションはFWとGK。父・勝也さんに勧められ、鳥取・成徳小4年から相撲一本に。鳥取城北高2、3年時に高校横綱。高校卒業後、肩の治療のために角界入りを遅らせ、22年9月に全日本実業団選手権を制し、幕下15枚目格付け出しの資格を得た。179センチ、156キロ。得意は突き押し、左四つ、寄り。