110年ぶりの新入幕優勝を飾った今年春場所千秋楽以来、231日ぶりに幕内の土俵に帰ってきた西前頭16枚目の尊富士(25=伊勢ケ浜)が白星発進した。

新入幕の朝紅龍に攻め込まれたが、土俵際ではたき込みを決めた。幕内復帰に「特に感情はないです。土俵は変わらないので」。久々の白星、館内の大歓声にもひょうひょうと言ってのけた。

今年春場所で快挙を飾った代償は大きかった。右足首付近の負傷で夏場所を全休し、名古屋場所も途中出場で途中休場。しかし、皆勤した先場所は13勝2敗で十両優勝を飾った。今年、15日間土俵を務めた3場所は幕内優勝に2度の十両優勝とV率100%を誇る。新大関大の里の最大のライバルと目される男が力を実証した。

肝が据わっている。最後の塩を取りにいく時、1人の男が目に入った。「(観戦に訪れていたソフトバンク)山川(穂高)選手が見えた。自分、野球好きなんで。おおっと思いましたよ」。推しの球団かは「それ言っちゃダメなんで。野球が好きなんで、気にはなります」。今季のパ・リーグ制覇に貢献した主砲に心を奪われかけながらも、集中し直して土俵際の逆転劇。「僕らにはシーズンオフはないんで」と笑った。

西前頭16枚目と幕内下位に“潜む”だけに注目の存在は間違いない。場所前は大の里について「すごいですよね。刺激はありますけど、誰かと競い合うより自分との闘いなんで」と話していた。その闘いでまずは力強い1歩を踏み出した。「悪い相撲だったがまた明日、自分の相撲をとれるようにやるだけです」。優勝争いを興味深く、盛り上げる男が帰ってきた。【実藤健一】

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