西前頭4枚目の玉鷲(40=片男波)が、昭和以降最年長となる40歳8カ月での金星を獲得した。新横綱大の里(25)を土俵際の突き落としで破った。通算8個目の金星は、1940年(昭15)初場所の大潮(39歳5カ月)の記録を、85年ぶりに更新する伝説星にもなった。この勝利で、昭和以降歴代2位の年長勝ち越しも決めた。大の里が3敗目は喫したことで優勝争いは混戦。1敗に一山本、2敗に玉鷲ら6人が並ぶことになった。
◇ ◇ ◇
土俵下に転がり落ちた大の里を見て「ヨシッ」と短く叫んだ。玉鷲は舌をちらりとのぞかせて、勝ち名乗りを受けた。高さ30メートルのIGアリーナに座布団が舞う。「ちょっと信じられなかった。座布団投げで、初めて(金星を)信じた」。
新横綱との2敗対決。「何度も何度も練習した」という低い姿勢で立った。角度を左にずらして、とられかけた右下手を切る。「とにかく(まわしを)とらせない。横綱は腰が重い」。左を差して相手の前進を止めようと試みたが、止められない。圧力を逃がすように時計回りに半周し、最後は追い詰められた土俵際で右からの突き落とし。「狙ってはいなかった。集中していた。あまり熱くならないようにと。(取組で)熱くなると悪いものが全部出るから」。結びの一番で勝って「周りを見て全部『大の里』(のタオル)だった。いい相撲をとろうと思った。あー、気持ちいい」。
記録ずくめの伝説星となった。40歳8カ月は、39歳5カ月の大潮を抜いて初の40代金星となった。「それはあまりわからなかった」。さらに40歳8カ月6日の勝ち越しは、同じモンゴル出身の大島親方(元関脇旭天鵬)にあと4日に迫る歴代2位の年長記録。大島親方は「この世界でやっていたら、どんな形でも名を残してやろうと思うもの。おれはそうだったし、彼も同じだと思う」と話した。
玉鷲は「上位戦も、若手とやるのも、楽しみ。つまりずっと楽しい。そういうこと」と口にする。大の里の3敗目で、優勝争いは混戦。40歳は優勝への意識を聞かれると3秒間、沈黙した後で「全然」とにやり。34本の懸賞金から付け人らにご祝儀を渡して「1つのチームなので」。粋な言葉を残して、さっそうと会場を後にした。【益田一弘】

