日本人女性と、認知症を患う母親とのベトナムでの生活を描いた、初の日越合作映画「ベトナムの風に吹かれて」(大森一樹監督)が13日までに同国で初公開された。主演を務めた女優の松坂慶子が同日、首都ハノイの映画館を訪れ「ベトナムは若々しくエネルギッシュな国。楽しい気持ちで見ていただければ」とあいさつした。

 ハノイ在住の日本語講師、小松みゆきさん(68)が、新潟県から呼び寄せた母親との2人暮らしの日々をつづった著作が原作。松坂は友人やベトナムの人々に支えられながら、母親のけがなど厳しい介護の現実に立ち向かう主人公「みさお」を演じた。

 松坂は「日本ではベトナムが注目されており、テレビでもたくさん紹介されている。交流がますます盛んになることを祈っている」と述べた。訪れた人々と日本の和歌を朗読し、拍手を浴びた。

 映画は母親役を草村礼子、主人公の友人役を奥田瑛二が演じたほか、ベトナムの俳優も多数出演。製作スタッフは両国から参加し、ハノイでの長期ロケも実施した。日本では9月から公開している。