第58回ブルーリボン賞の各賞が26日、東京映画記者会(日刊スポーツなど在京スポーツ7紙の映画担当記者で構成)から発表された。映画「ビリギャル」(土井裕泰監督)で、一念発起して慶応大学を目指す落ちこぼれギャルを好演した有村架純(22)が主演女優賞を、その母を演じた吉田羊(年齢非公表)が助演女優賞を受賞し、「親子受賞」となった。授賞式は2月9日、東京・霞が関のイイノホールで行われる。

 1人の映画人として認められたことが、有村にとって何よりうれしかった。主要な映画賞の受賞は初めて。受賞を聞いた瞬間を「夢が1つかなったと思った。感慨深い瞬間に、ジワジワと涙が出てきたんです」と振り返った。

 「ビリギャル」では、塾講師の熱血指導と吉田羊演じる母の愛に支えられ、慶大合格を目指す落ちこぼれギャルを熱演。ファミリー層を劇場へ呼び込んだ。「ストロボ・エッジ」では、片思いを貫く等身大の女子高生役。広木隆一監督から「気持ちが入っていれば、目で伝わる」と教えられ、自然な演技で若い世代を感情移入させた。

 興行収入も「ビリギャル」が28・4億円、「ストロボ-」は23・2億円。幅広いファン層に支持されたが、本人は「数字を言われてもピンと来ないんです」と笑った。

 吉田とは今も連絡を取り合い、食事に行く仲だ。「羊さんは現場での立ち居振る舞いも素晴らしい。どこにチャンネルを変えても出ている。それってみんなが羊さんとお仕事をしたいと思うから。私もそうなりたい」。役柄を超え、母子のような関係になった2人は、授賞式の舞台で喜びを分かち合うはずだ。【森本隆】

 ◆ブルーリボン賞 1950年創設。「青空のもとで取材した記者が選出する賞」が名前の由来。一般紙が主催も61年に脱退。67~74年の中断を経て、東京映画記者会主催で75年に再開された。ペンが記者の象徴であることから、モンブランの万年筆が副賞として贈られる。主演男優賞、女優賞は翌年の授賞式で司会者を務めるのが恒例。