関西漫才界で最古の歴史を誇る「第52回上方漫才大賞」が6日、大阪・オリックス劇場で発表され、姉妹コンビの海原やすよ(41)ともこ(45)が、5年ぶり2回目の大賞を受賞した。女性コンビでの2度受賞は初めて。第2回で大賞に輝いている偉大な祖母、故海原小浜さん(お浜・小浜)を超えた。

 「今日、(受賞後の)漫才出る前、泣きそうになった」。昨年末から約2カ月、脳動脈瘤(りゅう)手術から休養していた妹やすよが、照れながら話した。

 姉ともことコンビを組み、今年、25周年。継続が難しいと言われる女性コンビながら、上方伝統のしゃべくり漫才を貫いた功績が評価され、12年以来、2度目の大賞受賞となった。

 祖母は、上方女流漫才の先駆的コンビ、海原お浜・小浜の小浜さん。父も「海原かける」を名乗り、現在は吉本新喜劇で活躍する池乃めだかとのコンビ「かける・めぐる」で、同賞の新人賞を受賞している。親子3代で漫才師、一門には上沼恵美子(62)もいる上方演芸界のサラブレッド。

 ともこは「前の(受賞)時は、大賞とりたいと思っていて、今回は、普通に漫才をしてきたことを評価されたのがうれしい。私は女芸人と言われるのが大嫌い。漫才師と言われ続けたい」。漫才師の肩書へのこだわりは人一倍強く、海原千里・万里で一生を風靡(ふうび)し、後にタレントへ転身した上沼からも祝福のメッセージが届いた。

 上沼は「私は1回も(大賞を)もらったことがない。うらやましい。大阪のおばちゃん、東京のおばちゃんの違いとか、ネタの目のつけかた、センスがいい」と絶賛し「2度目の大賞は当然だと思います。重みを増してきた」とたたえた。

 お浜・小浜のDNAは上方演芸界においては重く、それに負けない漫才を心がけてきた。姉妹は「(女性の)後輩も増えて、漫才を続けていてすごいなと言ってもらう。やり続けてこられて幸せです」と声をそろえた。

 私生活では、やすよは元オリックス投手の宮本大輔氏、ともこは元男闘呼組の前田耕陽と結婚。妻になり、母になっても、漫才を継続し、重みという点では、体格的にも重厚感が増している。

 もともとぽっちゃりタイプの姉ともこに比べ、やすよはほっそりしていたが、今や「後ろから見たらどっちか分からんと言われる」。やすよは「服のサイズ? スリーサイズぐらいはアップしてますね。でも、太ってからの方が漫才うま(く)なったって言われます」と笑わせた。

 ただ、脳動脈瘤を患ったことで、血圧管理には気を使っており「元(の体形)に戻れるもんなら戻りたいですよ。血圧のためにも」と言い、ともこも爆笑。大賞獲得の賞金200万円の使い道について、ともこは「とりあえず、2人とも大きくなったので、衣装を新調したい」と話していた。

 奨励賞、新人賞はこの日、生ネタを演じた後に審査が行われて決定。奨励賞は「スーパーマラドーナ」。新人賞は候補7組の中から、緑のスーツで合わせた男性コンビ「トット」が受賞した。