今から22年前、1995年(平7)4月17日付の日刊スポーツ芸能インタビュー面「タイムリー人(ヒット)」。当時22歳の女優石田ひかり(45)をインタビューした。フジテレビ系連続ドラマ「輝く季節(とき)の中で」に主演した時だ。ちなみにプロデューサーは、このほど退任が決まったフジテレビ亀山千広社長(60)だった。

 その取材後記で次のように書いた。

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 3年前にドラマ「悪女」で女優人気がブレーク、今や名実ともに若手NO・1女優となった。あれから3年、いつ会っても、いつ見ても、すごいと思うのは、その芯(しん)の強さだ。(中略)取材陣がドッと押しかけても堂々と対応する。“揺れない心”。これが、いつも石田ひかりから感じるキーワードだ。際どい質問に対しても、決して逃げることなく、笑顔を交えて答えてくれる。22歳で、既に“売れっ子”ではなく“大女優”の風格を感じさせてくれる。

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 その石田ひかりに、今週の月曜日、14年ぶりの主演連続ドラマとなるフジテレビ系「屋根裏の恋人」(6月3日スタート、土曜午後11時40分)の制作発表で話を聞いた。今井翼(35)を相手にドロドロの不倫愛を演じる。石田が演じるのは証券マンの夫(勝村政信=53)と2人の子供と幸せに暮らす専業主婦。そこへ今井演じる18年前に別れた恋人が借金に追われて現れ、石田の家の屋根裏に住みつく。やがて2人は禁断の恋に落ちていく。

 最近のドラマの記者会見は、司会が2、3のありきたりの質問をして終わることが多いのだが、制作の東海テレビはしっかりと囲み会見をセッティングしてくれた。ならば聞いてみようということで、答えにくい質問をぶつけてみた。

 石田は01年にNHKテレビ小説「あまちゃん」などの訓覇(くるべ)圭プロデューサーと結婚、現在は中学2年と1年の2人の娘がいる。

 「不倫ドラマですが、娘さんたちや旦那さんにはドラマの内容を、どう話したんですか」

 「娘たちには、2カ月くらい大変になると言いましたが、内容については話していません。彼女たちも聞かないし、私から言うことはありません。主人にも内容については、あまり話していません。あの人はドラマをやるっていうことがどういうことなのか、言わなくても分かってくれますから、その辺は楽ですね」

 変わらない。どんな質問でも、真正面から受け止めて、しっかりと答えてくれる。若き大女優・石田ひかりの現在の姿をそこに見た。女性は結婚、出産すると仕事のキャリアが中断することがある。娘さん2人が大きくなった石田には、これからどんどん仕事をこなしてほしい。

 “揺れない心”を久しぶりに感じさせてくれた石田主演の「屋根裏の恋人」を見るのが楽しみだ。