フジテレビの定例会見が27日、都内の同局で行われた。宮内正喜社長(73)は冒頭、23日に同局営業局員が路上でのトラブルから傷害容疑で大阪府警に逮捕された件について「私どもの社員が逮捕されたのは遺憾。事実関係を確認して厳正に対処したい」と話した。

 また情報番組「とくダネ!」が、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会の審議入りした件について「重く受け止めている。誠意を持って対処したい。番組の制作体制を見直していく」。7月に逮捕された容疑者の映像を間違って使用、8月には書類送検前の人物を書類送検されたように報じていた。

 お昼のバラエティー「バイキング」では、2月に放送した元女優江角マキコ氏の不倫疑惑の内容に誤りがあったとして、今月25日までに番組公式サイトに謝罪文を掲載した。石原隆編成統括局長(57)は「今まで江角さんの方と話し合って来て、合意に達した。合意条件で詳細については言えない」。

 政治、芸能などのニュースを取り上げることの多い「バイキング」だが、バラエティー番組の担当部署が制作している。石原統括局長は「報道局や社会情報局と綿密に連絡を取っている。同じ情報でも、社会情報、報道、バラエティーと、いろいろな切り方があっていいと思う。真実は共通だが、違う表現の仕方があるということで、バラエティーでやっている」と説明した。

 9月に放送された「とんねるずのみなさんのおかげでした」の特番で、過去のキャラクター「保毛尾田保毛男」がLGBT団体などから抗議を受けた件について、宮内社長は「真摯(しんし)に受け止めて謝罪した。多様性のある社会を正しく受け止めて、番組作りに生かしていく」。石原統括局長は「ルールが時代によって変わって行くことを肝に銘じなくてはいけない。表現の自由さえも時代によって判断しなくてはいけない」と話した。

 22日に行われた衆院選の特番については「突然の解散、小池新党立ち上げ、民進党の事実上の解党など変わりゆく情勢を、視聴者の投票の判断材料とすべく報道できた」。岸本一朗専務(62)は「BPOが指摘した(各党の報道の)質的公平性は達成できた」と話したまた、選挙特番の司会を担当したフリーアナウンサー宮根誠司(54)が、来年4月から夕方の報道番組を担当するという一部報道について、宮内社長は「そういう事実はございません」と否定した。