ゲイリー・オールドマン主演の英映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」(30日公開)の特殊メークを手掛け、第90回米アカデミー賞メーキャップ&ヘアスタイリング賞を受賞した辻一弘氏が、映画界を一時引退した理由を明かした。

 辻氏は20日放送の日本テレビ系「スッキリ」に生出演。オスカー像も披露した。中学時代にかねて興味があった特殊メークの勉強を独学で始めた当時の思いや、「ウィンストン-」撮影中のエピソードなどを語った。

 20代で単身ハリウッドに渡ってからは数々の作品に参加し、活躍してきた辻氏だが、12年に映画界を引退。現代美術家として活動していた。引退の経緯について尋ねられると、「映画の仕事にちょっと疲れてきたんですよね」と明かしたが、MCの加藤浩次から「なんで疲れるんですか?」と単刀直入に聞かれると、苦笑しながら「結構ね、悪い役者さんとばかり仕事してた。わがままで……メークをちゃんとさせてくれないとか、毎日あつかいがひどかったりとか」とぶっちゃけ、出演者たちを笑わせた。

 また、そのほかの理由として「自分のやりたいことを見つけると、どうしても人のために作ってることができなくなってくるんですよ、時間的に」と辻氏。「そのときに大体40(歳)くらいだったんで、続けていくべきか、今辞めて帰るべきかを考えた」という。そんな中、恩師であるメークアップアーティストのディック・スミス氏のポートレートを制作したことがきっかけで、「これをやりたい。これしかない」と現代美術家としての道を考えたが、それでも「ファインアートの生きていく術がわからなかったんで、10年悩んで決心したんです」と紆余曲折があったことを明かした。