北大路欣也(75)が4日、都内で、77年の公開の映画「八甲田山」の4Kデジタルリマスター版特別上映会に出席した。

日露戦争開戦直前、厳冬の八甲田山を南北から踏破する雪中行軍を行う二連隊の姿を描いた作品で、主演は高倉健さんで、共演に北大路、加山雄三など。八甲田で3年かけて撮影が行われ、公開当時、日本映画の最高興収にあたる25億円を記録した。

北大路はこの日の試写会で、公開前の試写会以来、約40年ぶりに劇場で同作を見たという。「すごい作品に出させていただいてことを痛切に感じて、なんてラッキーな俳優だろうと思います。当時は31歳、32歳で、緊張のほうが先走って実感できなかったですが、今日あらためてすごさを再確認させていただいた」と、作品との出会いに感謝した。

また、撮影で使用して今も大事に保管しているという雑のうを持参した。「これを見るとある意味役者、人生の原点に戻る。あれを乗り越えたんだから、と。これは分身ですね」となぞらえ、「(映画は)人生そのもの。あのときの雪山の1歩1歩は僕の人生です」と作品への思いを語った。

試写会には撮影監督を務めた木村大作氏(70)も出席した。半年かけてゴミやチリを取り除く作業を行い、4Kデジタルリマスター版を完成させた。「雪の中にいる人たちの顔が、封切られた当時は見えなかったですが、分かるように呼び出しています。『加山雄三さんがどこに出ているか分からなかった』という話があるのですが、今回は分かると思います」と話して笑いを誘った。

「八甲田山」4Kデジタルリマスター版は、12月に開局される「日本映画+時代劇4K」チャンネルで、12月2日午後9時からテレビ初放送される。