宝塚歌劇の花組「A Fairy Tale-青い薔薇の精-」新人公演が10日、兵庫・宝塚大劇場で行われ、期待の若手スター聖乃あすかが、新人3度目の主演を務め、本役の花組トップ明日海りおのこだわりメークを盗んで、センターに立ったと明かした。

「明日海さんはメークにもこだわられるので、見学して、同じ化粧で(舞台に)出ました」。今作の本公演は、尊敬する明日海の退団公演。大先輩から少しでも多くの技術を盗もうと、稽古に励んできた。

その万感の思いもあってか、舞台上でのあいさつは、感極まった様子で声を震わせた。「今、この舞台から見ているこの景色、(劇中に登場する)魔法の粉で(時を)止められたらいいのになと、思います…」。幕が下りた後、取材に応じると、メークの細部まで、明日海を参考に舞台に上がったと明かした。

6年目の聖乃は昨年1月の話題作「ポーの一族」で新人初主演して以来、3回目。「もう自分の役に精いっぱいではいけない」と期して臨んだ舞台だった。明日海最後の公演で主演を得て、聖乃は「卒業されるまでに、少しでも多く、明日海さんから(技術を)盗みたい」と心に決めていた。

人間の少女に恋をし、罪の色、青に染まったバラの精霊役で、幻想的なたたずまいも芝居の鍵。明日海から「受け身の場面も多い。無理に感情を作ろうとせず、お芝居をしている人の空気、セリフを感じられるように心がけて」とアドバイスされたといい、聖乃も、過去2回の経験を生かすべく、自身で考えた。

「もう研6(6年目)ですし、お芝居をしている人をもっと、客観的に見なきゃいけないと思っていました。相手の呼吸を感じ、回りを感じるように。すごく勉強になりました」と、安心したように笑った。

相手役を務めたのは、2年目の都姫(みやひめ)ここ。初ヒロインに抜てきされ、都姫は、懸命に4年先輩の聖乃に従った。

「私も周りを感じて、相手との会話を聞いて、どこまで自然にいられるか、演じられるか、努力しました」。本役のトップ娘役華優希は、時代考証、設定を考慮して髪形、イヤリングを変えていると聞き「私も場面ごとに細かく(小道具を)意識しました」と話していた。

東京宝塚劇場では10月31日に上演される。