女優沢尻エリカ容疑者(33)が麻薬取締法違反(合成麻薬所持)の疑いで警視庁組織犯罪対策部第5課に逮捕されたことを受け、NHKにも激震が走った。沢尻容疑者は来年の大河ドラマ「麒麟がくる」(1月5日スタート、日曜午後8時)に斎藤道三の娘、後に織田信長の正妻となる帰蝶(濃姫)を演じる。すでに6月には収録が始まっている。NHK広報部は「事実関係を確認中」としている。

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沢尻エリカ容疑者の逮捕の一報を受け、NHK広報部も、あまりに突然の出来事に「事実関係を確認中です」と答えることが精いっぱいだった。また、局内からはショックを隠せない様子もうかがわれた。

「麒麟がくる」の収録はすでに6月にスタートしている。沢尻容疑者は、斎藤道三の娘で、信長の正妻という第2のヒロインともいえる重要な帰蝶(濃姫)の役。主演の長谷川博己が演じる明智光秀と絡むシーンが多く1月5日放送の初回から登場する予定だった。今回の逮捕で初回の放送の形は不透明となった。

放送までは1カ月半しかない。制作現場は、収録済みの部分やスケジュールの確認から編集作業や撮り直し、代役選考など、急ピッチで今後の対応を迫られているもようだ。制作関係者は「少なくともそのまま放送するわけにはいかない」と、代役起用は避けられない状況と示唆した。別の制作関係者は「こういう事態は自分たちでは防ぎようがない」と困惑した。

大河ドラマはトラブル続きで、局内からも「またか」とため息にも似た声が聞こえた。3月には現在放送中の「いだてん~東京オリムピック噺」に足袋職人黒坂辛作で出演中だったピエール瀧も麻薬取締法違反(使用)の疑いで逮捕され、三宅弘城が代役を務めた。10月には東京オリンピックの日本女子バレーボールの大松博文監督役で出演する徳井義実が、東京国税局から約1億3800万円の申告漏れなどを指摘され、活動を自粛。NHKは再編集を余儀なくされたばかりだった。

沢尻容疑者は大河ドラマ初出演。3月に都内の同局で行われた出演者発表会見では「沢尻エリカの集大成をここで…。これが本当に自分の集大成と思っています」と声を詰まらせ、強い決意を語っていた。その決意は真意だったのか不明だが、結局、NHKや共演者、視聴者を裏切る結果となってしまった。

また、沢尻容疑者は13日に都内のNHKで、「麒麟がくる」の取材会に参加していた。関係者によると演じる役について前向きな姿勢を示していたという。