NHK大河ドラマ「麒麟がくる」(日曜午後8時)の関東地区の平均視聴率が回を重ねるごとに徐々に低下しています。初回は19・1%と、今後、20%オーバーがあるかもしれないと期待が高まりましたが、第2回は17・9%、第3回は16・1%、第4回は13・5%、第5回は13・2%に。原因を考えてみました。

大河ドラマは、日曜午後6時からBSプレミアムでも放送されています。数字は、初回3・3%、第2回3・9%、第3回は少し下がり3・6%でしたが、第4回は4・0%にアップ。そして16日放送の第5回は同作最高の4・5%と着実に数字を伸ばしています。つまり大河ドラマの視聴者が、リアルタイムの午後8時の視聴からBSプレミアムの午後6時に移っているようです。

13日のNHK定例放送総局長会見で、木田幸紀放送総局長も数字の低下に「不安材料は全然持ち合わせていません」と自信をみせていた。さらに、「リアルタイムは少し下がったが、BSプレミアムとかタイムシフトの数字は高い所で安定している」と説明していました。

午後8時から午後6時に視聴時間を移動するのは、午後8時の枠の裏番組に、毎回、高視聴率を記録するテレビ朝日系「ポツンと一軒家」と日本テレビ系「世界の果てまでイッテQ!」があることが主な要因でしょう。民放の2番組も見たいし、大河も見たいという視聴者は、大河が午後6時からでも視聴可能と分かれば、家事や食事などの都合もあるでしょうが、午後8時のリアルタイムを離れて午後6時に移っていくのは当然の流れなのでしょう。

となれば大河のリアルタイムの視聴率は今後も低下していくか、今のレベルの13%前後を何とかキープする状態になるのでは、と思われます。

「麒麟がくる」の出来栄えについて、評価は高いです。史実に残る明智光秀と、史実がないフィクション部分の光秀。周囲から面白いという声をたくさん聞きます。ただ、これ以上、数字が下がってしまうとやはり不安。

近年のリアルタイムの視聴率が低迷気味だった大河ドラマの多くは、最高視聴率を初回で記録し、その初回の数字を上回ることなく最終回までいくケースが多かった気がします。「麒麟がくる」は今後、視聴者の心を大きく揺り動かす力を秘めた作品だと感じます。今後、初回を上回る数字を期待したいものです。

※数字はビデオリサーチ調べ。