R-指定(29)とDJ松永(30)による2人組ヒップホップユニット、Creepy Nuts(クリーピーナッツ)の初武道館ライブを鑑賞した。新型コロナ拡大後、仕事で無観客配信ライブなどを取材することはあったが、私生活で有観客ライブを訪れるのは初めてだった。

元々ライブは11月12日に予定されていたが、新型コロナの影響を受け収容人数を半数に。それに伴い、日程を11、12日の2日間に拡大していた。映画や演劇は声を出さずに鑑賞できるが、ファンの歓声がステージの盛り上がりに一役買うライブで、観客に“だんまり”を求めるのは、難しいのではと思っていた。

初の武道館開催とコロナ禍でのライブ実現は、ファンにとってうれしいものだろう。実際ライブが始まると、2人の登場に声を上げて喜ぶファンもいた。一時不安を覚えたが、合間のMCでR-指定がコール&レスポンスができないことを残念がると、その後は「あ、そうだった」と気付いたように周囲の歓声が止んだ。以降は拍手や体の動きで呼び掛けに反応していた。

出演者もファンも待ちに待った状況で、双方が無事にライブを終えようという配慮が見える。声を出せないからといって、ライブが盛り上がりに欠けることはまったくなかったし、むしろ状況が結束力を強めたような気さえした。

4日には、ロックバンド「THE YELLOW MONKEY」が東京ドームでの有観客ライブを成功させたばかり。アーティストとファンの二人三脚で、少しずつ音楽業界が動き始めた感じがうれしい。【遠藤尚子】