新人賞は「ミッドナイトスワン」で女優デビューを飾った服部樹咲(みさき=14)が受賞した。昨秋まではごく普通の中学1年生。バレエ経験者を求めていたオーディションでヒロインの座を射止めた。「ここまできて、賞までいただけてビックリしています」。

バレエは幼稚園の盆踊りで踊る娘の指先を母が見逃さず、勧めたという。「家の近くにバレエ教室ができまして。先生がきれいだったんです」。バレエで実績を残すも、漠然とした芸能界への憧れもあったという。「ドラマが好きで私だったらこうやりたいとか、勝手に思っていました。小松菜奈さんが大好き」。

演じた一果は母親にネグレクトされ、心を閉ざし、自傷行為に走る難しい役だった。「自傷行為をするまでの心情を監督とよく話し合い、なぜそうなるかをわかってから撮影に臨みました」。逆に、最初にバレエ教室に体験入学するシーンでは、うまく踊ってはいけなかった。「ただ下手に踊るのは簡単だけど、何か光る片りんは見せなければいけません。手の先だけはきれいに見せようと意識したけど下手な踊りと連動してしまい難しかったです」。

映画の製作現場は水に合ったという。「エンドロールを見てたくさんの人が関わっているのがわかりました。企画して撮影して編集して作品ができあがる。また、参加したいと思いました」。【竹村章】

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◆服部樹咲(はっとり・みさき)2006年(平18)7月4日、愛知県生まれ。4歳からバレエを始め、17、18年のユースアメリカグランプリ日本ファイナル進出、NBAジュニアバレエコンクール東京2018で1位に。好きな食べ物は果物。168センチ、血液型A。

◆「ミッドナイトスワン」 トランスジェンダーの凪沙(草なぎ剛)は、広島から上京して新宿のニューハーフショークラブの舞台に立つ。ある日、母親の育児放棄にあった親戚の子一果(服部樹咲)を、養育費目当てで預かる。一果はバレエ教室のレッスンに参加し、月謝のために違法なバイトをし警察に保護される。一果の才能を知った凪沙の心の中に母になりたいという思いが芽生え、一果のために生きようと決意する。内田英治監督。

※草なぎのなぎは弓ヘンに前の旧字体その下に刀

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▽選考経過・新人賞 蒔田彩珠を「若き天才。存在感を放っている」(伊藤さとり氏)と推す声と、服部樹咲に「俳優だと思っていたら、バレエのうまさは並じゃなかった。(演技とバレエ)両方を兼ね備えていた」(神田紅氏)と驚きの声。1回目の投票で決定。

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★昨年「愛唄-約束のナクヒト-」などで新人賞を受賞した清原果耶(18) 第33回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞 新人賞の受賞、おめでとうございます。上映中、凪沙の、あるいは一果の「私ばかり」がどうか癒えますようにと願い続けていました。彼女の心が住む場所に、服部さんに連れて行ってもらった気がします。改めまして、このたびは本当に受賞おめでとうございます。