米女優スカーレット・ヨハンソン(36)が29日、主演する新作映画「ブラック・ウィドウ」の公開方法を巡り、契約違反で配給する米ウォルト・ディズニーを提訴した。

同作は当初、昨年5月に劇場公開が予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大のため延期となり、7月9日に劇場とストリーミング配信で同時公開されていた。

これに対しヨハンソンは、劇場でのみ公開する契約を結んでおり、同時配信されたことは契約違反に当たるとし、これによって巨額の損失を被ったと主張している。劇場での興行収入に比例して報酬を受け取る契約を結んでいたと複数のメディアが伝えている。

「ブラック・ウィドウ」の北米での公開3日間の興行収入は8000万ドル(約88億円)で、公開3週間の累計も1億5000万ドル止まりと、マーベル作品としては期待外れの結果になっており、ストリーミング配信が影響していると指摘されている。

ディズニーは昨年10月に今後はストリーミング配信を優先する方針を示し、公開を予定してた「ブラック・ウィドウ」などの作品を今後は劇場と同時配信することを発表していた。

ヨハンソンの弁護士は声明で、「劇場と同時配信するのはディズニー+の会員数を増やし、株価を上げるためだ」と主張しており、その口実として新型コロナウイルス感染拡大の影響で劇場公開できないことを隠れみのにしていると批判している。ディズニーからは正式なコメントは出されていない。

「アイアンマン2」(2010年)から過去9作品でブラック・ウィドウを演じてきたヨハンソンにとって、今作はブラック・ウィドウ初の単独主演作だった。新作では謎に包まれていたブラック・ウィドウの過去が描かれているが、ヨハンソンは公開前のインタビューで再び同役を演じることはないと語り、引退を表明していた。(ロサンゼルス=千歳香奈子)