好角家として知られるデーモン閣下が27日、現役引退の申し出をした大相撲の第69代横綱白鵬(36=宮城野)について、公式ブログで思いをつづった。

白鵬が引退の意向を固めたという一報に「進退をかけて臨んだこの七月(名古屋)場所では、45回目の優勝を全勝で飾るなど復活した感があったし、九月場所中には稽古を開始していると伝えられていただけに、この一報に吾輩も『ええ!?』と思ったが、すでに心中では『最後の一花』という思いが七月の段階であったのかも知れない」とおもんぱかった。

白鵬が大関に昇進する頃から交流があったといい「初対面の時には、将来横綱に上がった場合きっと不知火型の土俵入りをすることになるであろうから、せり上がりの時の、両腕の上げ方には『こんな意味があるんだよ』と吾輩が知ったかぶりに語った記憶がある。が、その後、大相撲史に燦然(さんぜん)と名を残す大横綱に何を言っていたのだろうと、今振り返るとかなり気恥ずかしい限りである」とエピソードも明かし「何年か前には、白鵬関が引退する時の何らかのセレモニーで歌えることを展望した『千秋楽』という雅楽を基調とする歌も作った」。

白鵬は閣下のことを「先輩!」と呼ぶという。素顔の白鵬は「周りを明るくする能力にもたけ、楽しい人物。非常に勉強熱心でもあり、頭脳明晰(めいせき)な人だと思う。必ずしも相撲に直結しない歴史の書籍を読むなどして、日本の先人の考えを学ぼうとした」としつつ「それでも、いわゆる日本文化の奥の奥の“美徳”のようなものを、完全に理解することは難しいのかな、とも思わされる時はあった」。

史上最多の優勝45回などの金字塔を打ち立てた白鵬だが、荒々しい立ち合いなど、物議を醸すことも少なくなかった。一方で、東日本大震災復興支援や、賭博や八百長、薬物などの不祥事に揺れた角界を看板力士として何年間も守り続けた姿勢に、閣下は「優勝回数や勝ち星の数字とは別にもっと評価されてしかるべき」との持論も示した。

白鵬の強さについても「四股、すり足や柔軟体操といった基礎稽古を他のどの力士より時間をかけてじっくりやってきたこと。長持ちの秘訣(ひけつ)だったのだろう。今後も多くの力士の範となる」とし「それにしても出場した最後の場所を全勝で終えたところなど、白鵬らしいなあと思わされた」。

今後は後進の指導にあたる希望を持つとされるが、閣下は「親方としての育成力を大いに期待したい。そして長きにわたり大相撲界を支えてくれたことに最大級の感謝をしたい、一相撲ファンとして。そして『お疲れさま』と言いたい、『一先輩』として」とねぎらった。