米アカデミー賞の前哨戦として知られる、ゴールデングローブ賞が9日(日本時間10日)発表され、濱口竜介監督(43)の映画「ドライブ・マイ・カー」が非英語映画賞(旧・外国語映画賞)を受賞した。邦画としては、市川崑監督の「鍵」以来、62年ぶりの快挙達成となった。前日8日(同9日)に発表された全米批評家協会賞でも、作品賞、監督賞(『ドライブ・マイ・カー』『偶然と想像』の2作品に対して)、脚本賞、そして西島秀俊(50)がアジア人初の主演男優賞と、主要4部門を受賞していた。

「ドライブ・マイ・カー」は、村上春樹氏(72)が13年11月発売の「文芸春秋」12月号に発表した短編で、同誌14年3月号まで連続で掲載した「女のいない男たち」と題した連作の第1弾。14年の短編小説集「女のいない男たち」(文春文庫刊)に収められており、濱口監督は同作に加え「女のいない男たち」に収録された6編の短編の中から「シェエラザード」「木野」のエピソードも投影し、脚本を作り上げた。

物語は舞台俳優で演出家の家福(かふく)悠介(西島)が満ち足りた日々を送る中、脚本家の妻音(霧島れいか)が、ある秘密を残したまま突然この世からいなくなってしまう。その2年後、喪失感を抱えたまま生きる家福は、演劇祭の演出で向かった広島で、寡黙な専属ドライバー渡利みさき(三浦透子)と出会い、1度は拒否するも受け入れ、ともに過ごす中で、それまで目を背けていた、あることに気づかされていく心情を描く。

「ドライブ・マイ・カー」は、世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭で邦画初の脚本賞を受賞。日刊スポーツ映画大賞でも作品賞、主演男優賞を受賞するなど、国内外で多数の賞を受賞している。米映画芸術科学アカデミーが21年12月21日に発表した、第94回アカデミー賞国際長編映画賞(旧外国語映画賞)部門の、授賞対象を15作品に絞り込んだリストにも選ばれており、2月に発表される最終ノミネート入りが期待される。