テレビドラマ「横溝正史シリーズ」の金田一耕助役などで知られる俳優古谷一行(ふるや・いっこう=本名かずゆき)さんが、8月23日に亡くなっていた。2日、所属事務所が発表した。78歳だった。11年に早期の肺がんと診断、14年には脳への転移が見つかったが、放射線治療で乗り越えていた。近年もドラマ、舞台に出演しており、体力づくりに取り組む中での急逝となった。

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古谷さんの死去は所属事務所が公式サイトで発表し「弊社所属俳優古谷一行が2022年8月23日 火 永眠いたしました。ここに皆様からの生前のご厚誼に深謝し、心から哀悼の意を表しますとともに、謹んでご報告申し上げます」と伝えた。また「弊社の誇るべき俳優として、数多の作品に出演し、かけがえのない財産を残してくれましたこと、心より感謝の気持ちを持ってお見送りさせていただく所存でございます」とつづった。

所属事務所によると、最近の古谷さんは体力づくりを続けていたが「顔色が悪い」として23日昼に病院を受診したという。大事を取って入院したところ、その日の夜に容体が急変。家族が病院に駆けつける間もないほどの急逝で、死因も不明という。

古谷さんは11年10月に早期の肺がんと診断を受けた。同11月に腫瘍の切除手術を行い、12年2月に仕事復帰。3年後には脳への転移が見つかったが、放射線治療で完治し、病を乗り越えていた。文書では古谷さんの近況にも触れ「病克服後、次なる挑戦に向けて、家族の見守りと共にトレーニングに通う日々を送っておりました矢先、この度の訃報となる予期せぬ出来事に見舞われてしまいました。余りにも突然な事に、ご遺族のご心痛は、計り知れないものでございます」とつづった。

20年9月には急性胃潰瘍で緊急搬送されたこともあったが、最近は健康面での問題は見られなかったという。近年は舞台「アルトゥロ・ウイの興隆」やNHK時代劇「立花登青春手控え」などに出演していた。

葬儀は遺族の意向により家族葬で執り行った。後日お別れの会を開く予定だという。

◆古谷一行(ふるや・いっこう)本名・古谷一行(かずゆき)。1944年(昭19)1月2日、東京都生まれ。中大法学部卒。同大在学中に俳優座養成所に入り、研修生をへて67年に入団し同年の舞台「アンナ・カレーニナ」でデビュー。77年にTBS系でスタートした「横溝正史シリーズ」の名探偵・金田一耕助役で人気を集めた。82年からはテレビ朝日系「土曜ワイド劇場」の「混浴露天風呂連続殺人」シリーズで主役・左近太郎役を演じ、25年演じる当たり役となる。川島なお美さんの相手役を務めた、97年の日本テレビ系「失楽園」も話題となった。19年12月にフジテレビ系で放送された、NEWSの加藤シゲアキが金田一耕助を演じた「悪魔の手毬唄~金田一耕助、ふたたび~」に磯川常次郎警部役で出演し、新旧金田一役俳優の共演も実現。長男はDragon Ashのボーカル降谷建志。