76年に解散した、さだまさし（70）と吉田政美（70）からなるフォークデュオ「グレープ」が3日、解散ライブを行った東京・神田共立講堂で、約46年半ぶりとなるライブを開催した。この日はデュオ結成50周年記念日。“聖地”で一夜限りの復活を果たした。

解散後、さだのコンサートに吉田が参加するなどの復活はあったが、グレープ名義のライブは約46年半ぶり。いよいよライブと思わせた冒頭、吉田があいさつ後に即退場する動きを見せた。すぐにさだが呼び戻し、開始1分、久々と思えない熟練の間合いで笑いを誘った。

ライブは代表曲の1つ「精霊流し」で幕を開けた。トークで見せた見事なコンビネーションは、もちろん音楽でも健在。当時より歌やギターのスキルがアップしたといい、さだは「グレープは進化しています」と胸を張る。そして「再結成で同窓会みたいになるのは嫌だねって。でも最後の拍手を聞いたら『ああ、納得してくれたかな』と思いましたね」と笑顔を見せた。現在は一般に貸し出していない会場での公演実現。さだは「感無量ですよね」。吉田も「50年たって、こんなことやるとは夢にも思ってなかった」と感謝した。

約2時間半で、デビュー曲「雪の朝」や、新曲「天人菊（仮）」など全16曲を披露。懐かしい楽曲のイントロを聞く度に、復活を心待ちにしていたファンからは拍手が送られた。2人からは、セットリストに無かった楽曲を急きょ1曲披露する“お返し”も。そして、来年2月15日に約47年ぶりとなるオリジナルアルバムを発売することも発表した。さだは「50年たったのが夢のようです。時間を大切に大切に、どこまで走ることができるのか、これから戦っていきたいと思います」と言葉に力を込めた。さだと吉田、約半世紀を待ったファンにとって、忘れられない一夜になった。【佐藤勝亮】