宝塚歌劇団雪組トップ娘役の朝月希和が7日、兵庫・宝塚大劇場で、退団公演「蒼穹の昴」千秋楽を迎え、本拠地に別れを告げた。本拠地お披露目「CITY HUNTER」の「100トンハンマー」を手に、雪組トップ彩風咲奈に迫るコメディータッチからのキスシーンでショーを締め、宝塚にサヨナラした。

本編終了後、約15分のサヨナラショーは、娘役を従えて「ル・ポァゾン」で幕開け。本拠地お披露目時のショー「Fire Fever!」では、1期先輩のスター朝美絢、同期の和希そららと歌い、「一つの愛」ではトップ彩風咲奈とのデュエットも披露した。

その最後が「-ハンマー」からの熱い抱擁、キス。硬軟、多彩な役柄をこなしてきた13年目ベテラン娘役らしいわかせ方だった。

最後のあいさつは、宝塚歌劇団生徒の正装、はかま姿で「ここは、私に愛を教えてくれた大切な場所でした」。感極まったような声で「先ほどは、時間よ止まれ! と思いましたが、でも、今日という日は一瞬でした。この大劇場の景色、光景は、しっかりと目に焼き付けておきたいです」と言い、笑顔も見せた。

娘役としては異例の遅咲き、12年目でのトップ娘役就任だった。

「たくさん、たくさん道に迷って、壁にぶつかって、転んだり、なかなか前に進めませんでした。でも、もう少し、もう少し! と、あきらめなければ道の向こうに、必ず何かが待っているということを見つけました。必ず手を差し伸べてくれる誰かがいました」

トップ彩風の支えも大きかった。

「サキさんがいたから、ここまでこられました。サキさんは、周りを見る大切さも教えてくださいました。本日で宝塚大劇場は卒業いたしますが、きたる12月25日クリスマスの日、宝塚を卒業する日まで、皆さまへの感謝は忘れません」

先輩、後輩やスタッフへの思い、そしてファンを思い「お客さま、ファンの方々からの温かい言葉、拍手に勇気をもらいました」と伝えた。

声を震わせながらも、あいさつを遂げた朝月に、彩風は「千秋楽の日を元気に迎えられて感謝の気持ちでいっぱいです」とあいさつ。朝月は「幸せすぎて、苦しすぎて、胸がいっぱいです」と、泣き笑いの表情で答えた。

彩風は、そんな朝月を見やり「今日が大劇場で2人でデュエットダンス踊るのは最後なんだなと思いましたが、東京公演もまた、よろしくお願いいたします」と、退団する日まで全力で支えると誓った。

朝月は10年入団。花組配属から雪組、花組、そして20年11月に雪組に戻り、トップ彩風咲奈が就任した昨年4月12日付で相手娘役に迎えられた。12年目でのトップ娘役就任は、近年では渚あきの14年目に次ぐ、異例の遅咲きだった。

退団公演「蒼穹の昴」は、東京宝塚劇場でも、11月26日に開幕。東京千秋楽になる12月25日をもって退団する。

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