WBCが大きな盛り上がりを見せる中、明日18日から第95回選抜高校野球大会(甲子園)が開幕する。大会に出場する慶応(神奈川)出身で、選手、コーチとしてチームに7年携わったTBS井上貴博アナウンサー(38)がこのほど取材に応じ、「日本人の心をわしづかみにするヌートバー選手の原点である高校野球。そのセンバツ大会が始まります。侍ジャパンに負けない、すがすがしい試合を期待したい」と未来の侍ジャパン候補たちにエールを送った。【佐藤成】

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朝からキャスターを務めるTBS系「Nスタ」(月~金曜午後3時49分)のプロモーション活動、その後の約3時間の生放送を終えたばかりで、疲労がたまっているはずの中の取材。それでも井上アナは、席に着くなり「一番うれしいかもしれない、これで取材していただけるっていうのが。やっぱり原点なんですよ。どう考えてもあの現役3年間とコーチの4年間で7年間ですけど、あの7年間がなかったらこんな人間になってないっすね」と熱っぽく語り始めた。

幼い頃に野球を始めたが、小学5年で他地区にいたレベルの高い選手に出会ってから、プロ野球選手になることではなく、甲子園に出場することに夢が変わった。「そこからずっと人生の目標が甲子園。甲子園に出ることをずっと考えていた」。

高2の夏に二塁手のレギュラーをとり、「打撃はダメだった」と笑うも、高3は遊撃手でチームを支えた。俊足と守備力の高さでチームを引っ張ったが、全国レベルの強豪が集まる神奈川大会の高い壁に阻まれ、高校3年間で甲子園出場はかなわなかった。大学でも現役を続けるつもりだったが、腰のけがなどもあり、高校の野球部で学生コーチを務めることに決めた。再び甲子園を目指した。

「もう1回、4年間甲子園にかけるっていうのは面白そうだなと思ったんですよね。なので(最初は)その選手のためとか選手を甲子園に連れて行ってあげたいとか、そんなことは全く思ってなかったですね。自分が個人で行きたいっていうエゴでしたね(笑い)」

学生コーチは完全ボランティア。高校野球部の練習に合わせて大学の授業も組んだ。週6日の練習だが、選手から自主練を求められることも多く、ほぼ週7日の活動。大学にはジャージーで通った。

「本当に全部高校の野球の練習から逆算して自分の生活を組み立てていましたね。もう1回やれって言われてもやんないかもしんないですね。ばかみたいですよね。ちょっと理解できないですね。今の自分でもちょっと理解できないぐらい。でもその時って何の苦でもないですし、周りに『給料とか発生しているの?』とか『バイトなの?』とか、言われるんですけど、完全ボランティアですよ。それをすごく不思議がられるのが不思議だったんですよね。どんなに純粋な人間だと思うんですけど、だから別でバイトして授業に行って練習行くんですけど、全然苦じゃないんですよ。不思議ですよね。人に教えるなんてのは自分できないと思ってましたし、やっぱり自分がやりたい、教えるよりやりたいと思ってたんですよね。でもコーチを始めて1年、2年ぐらいたった時には、もうやっぱり純粋にこの道を選んでよかったなとか思ってましたね」

(続く)

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