WBCが大きな盛り上がりを見せる中、明日18日から第95回選抜高校野球大会(甲子園)が開幕する。大会に出場する慶応(神奈川)出身で、選手、コーチとしてチームに7年携わったTBS井上貴博アナウンサー(38)がこのほど取材に応じ、「日本人の心をわしづかみにするヌートバー選手の原点である高校野球。そのセンバツ大会が始まります。侍ジャパンに負けない、すがすがしい試合を期待したい」と未来の侍ジャパン候補たちにエールを送った。【佐藤成】

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07年にTBSに入社し、学生コーチを離れた後も、慶応の後輩たちの動向はチェックを欠かさない。「試合は見てますね。なるべく見てます。(担当番組)『Nスタ』打ち合わせ中とか結構見てます。ずっと」と笑わせた。

その上で、自身の現役時代とのレベルの差に驚いているという。

「今の子たちは本当すごいなと思います。今回出るチームも、今って地区予選から全部ネットでやってくださるので、ずっと見てましたけど、やっぱりしっかりしていますね。大したもんだなって。この子たちだったら、オレ何教えていたかな、みたいな」

今回出場するチームは、現場で観戦したことはないが、県大会は全てチェックしたという。印象を聞いた。

「僕が見ていて思うのは、その突出した誰かがいるというよりも、すごくみんながみんなで補い合ってるチームなのかなと、はたから見る分には思いますね。このピッチャーとてつもないとか、このバッターがプロ注目とかそういうのは多分いないと思うんです。チーム力なんです。あと大きなミスをしないですね。守備とかも(高校生なら)もう少し崩れてもいい。僕はもう本当に画面で試合見てるだけなのでわからないですけど、そのメンタリティーの問題なのか…。僕のときもエンジョイベースボール、楽しんでやろうっていうのをもちろんやっていましたけど、試合になるとどうしてもこわばるんですよね。今の子たちはそうなのかはないけど、楽しんでいるように見えるんですよね。見てるこっちが悲壮感というか、『ピンチだ』とか『これまずいぞ』って見ているんですけど、彼らの表情を見ると結構楽しんでやってるので。頼もしいなと思いますね」

チームの森林貴彦監督は自身の現役時代、コーチ時代と関わりがある。「(前監督)上田(誠)さんが野性的な人なんですよね。イメージで赤い炎なんですよ。ぱっと見てわかりやすい。怒るときは怒るし笑うときは笑うし。ある意味、学生と同じレベルでやります。それに対して森林さんはイメージとしては青い炎というか。ちょっと見えづらいんですけど、ものすごいたぎる思いを中に持っていて、でも冷静で。獣臭はしないですね。上田さんは獣臭ですね。感覚で、感情でぶつかっていく。でも森林さんは正反対でしょうね。だからこそ面白いし、刺激的でしたね。僕にとってはある意味で。上田さんは全く違うタイプだったので。僕のときも、今も多分そうだと思うんすけど、メモを手にして、データで『この時こうなっていたね』とか、『あのときはあのプレーだね』とかって教えてくださる。そうかそうかそうか。その時そうかと。データの方のイメージですね」

チーム中でも清原和博氏の次男、勝児内野手(2年)には大会前から大きな注目が集まっている。

「僕が言えることはないですけど、この年齢でこれを背負うのって相当重いと思うんですよ。あと、チームメートとの関係性とかも難しいでしょうし、何をやっても『清原』ってなるんですよね。でもこれは宿命なので、マスコミからしたらこうなるし。だからお兄さんも含めて、ぶち当たる大きな壁だと思うんですけど、利用するぐらいにいてほしいなと思いますね。『だから何?』っていう。『おやじはおやじで僕は僕で』っていう。たぶんしっかりした子なので、大丈夫だと思うんですけど。なんかそんなに背負わないでねってことを思いますね。でもこれはチャンスだと思うので、慶応にとっても彼にとっても。本当にプラスで軽い気持ちで考えてほしいなと思いますね。周りが言っているだけですし」

(続く)

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