WBCが大きな盛り上がりを見せる中、明日18日から第95回選抜高校野球大会(甲子園)が開幕する。大会に出場する慶応(神奈川)出身で、選手、コーチとしてチームに7年携わったTBS井上貴博アナウンサー(38)がこのほど取材に応じ、「日本人の心をわしづかみにするヌートバー選手の原点である高校野球。そのセンバツ大会が始まります。侍ジャパンに負けない、すがすがしい試合を期待したい」と未来の侍ジャパン候補たちにエールを送った。【佐藤成】

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05年春、井上アナが大学2年の時に学生コーチを務める慶応はセンバツ出場を果たす。小学5年から夢見た舞台に出場が決まった瞬間は今でも覚えている。

「いやー忘れられないですね。選抜なのである程度、下馬評というか事前の評価みたいなのはあって、なんとなく『いけそうだぞ』っていうのはなっていたんですけど、でも一報が来るまではずっとわからないので。一報が入って当時の学生コーチと抱き合って喜んだことは忘れられないっすね」

取材陣も詰めかける中、学校に部員、スタッフが全員で集まり待っていた。「なんか信じられなかったですよね。でもなんかうれしいんだけど、なんなんだろう。行っていいんだというか、なんかずっと恋い焦がれてたので、(甲子園に)行っていいんだという気持ちだった」。

そう振り返りながら当時の選手への感謝を口にした。「僕は本当ついてるだけなので。僕らにとって運が良かったですし、あの子たち頑張ってくれたのが全てですね」。

試合前のノックは、外野コーチと監督が担当するため、内野コーチだった井上アナはベンチに入ることはかなわなかったが、事前の公式練習では悲願の甲子園のグラウンドに足を踏み入れた。当時持ち帰った砂は今でも自宅玄関に飾ってあるという。

「いまだに僕の自宅の玄関を入ると高校3年生のときの夏の大会の公式メンバー写真みたいなそれが、額に入ってますよ。それが右側にあって、左にはコーチの時の写真と、甲子園の土がありますね」

恋い焦がれた甲子園は井上青年の目にどう映ったのか。5秒ほど考え込んでこう答えた。

「もっと広いかなと思っていました。たぶん自分の中でもう聖地になりすぎていて、想像が膨らみすぎていたんでしょうね、入ったら『こんなもんか』と思いましたけど。だから半々ですよね。選手も憧れの地に来て浮足立っているので、『お前ら浮足立つなよ、お前らちゃんとやれよ。勝ちに来たんだからな』っていいながら『わかるぞー』って(笑い)。どっちも半分楽しい。わかるけど、もう建前上もこっちもコーチだから『遊びに来たんじゃないからな』と自分で言っている。もう自分に言い聞かせていた」

同校野球部の公式サイトには歴代コーチの寸評が記されている。井上アナの欄には「現役時代は名ショート。そのルックスからは想像出来ない厳しい指導で何人もの部員がコンバートに成功した。爽やかなイケメンコーチはお母様方や部員の憧れの存在であった。現在は某テレビ局のアナウンサー」とある。

改めて読み上げると本人は「それね…いじりでしかない」と苦笑い。しかし「そのくらい若い時期に、小さい規模ですし、学生スポーツですけど、マネジメントというか、そういうのを自然と考えなきゃいけない環境にあったのは、とてもありがたかったなと思います。監督に対しても選手たちに対しても」と感謝した。

(続く)

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