ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長(56)が14日、19年に87歳で死去したジャニー喜多川前社長の性加害問題について謝罪した。

公式サイトに掲載された動画内で、被害を訴えている人々やファン、関係各所へおわびを伝えた。各方面からの質問に対しての回答も記し、後悔の念や今後の方針なども明かした。

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ジュリー氏は動画内でまず頭を下げ、神妙な表情で「このたびは、創業者ジャニー喜多川の性加害問題について世の中を大きくお騒がせしておりますこと心よりおわび申し上げます」と謝罪した。さらに「何よりもまず被害を訴えられている方々に対して深く、深くおわび申し上げます。そして関係者の方々、ファンの皆さまに大きな失望とご不安を与えてしまいましたこと重ねておわび申し上げます」と計4度頭を下げた。

今年3月英BBCがジャニー氏の性加害問題を扱うドキュメンタリー番組を放送。先月には元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトさん(26)が会見し、12~16年にジャニー氏から性被害を受けたと述べていた。ジュリー氏は「事実であるとすれば、事務所の存続さえ問われる、極めて深刻な問題」と受け止めたという。

公式サイトでは各方面からの質問に対し一問一答形式で書面で回答した。BBCの報道やカウアンさんの告発は事実か問われ「当然のことながら問題がなかったとは一切思っておりません」とした。「一方で、当事者であるジャニー喜多川に確認できない中で、私どもの方から個別の告発内容について『事実』と認める、認めないと一言で言い切ることは容易ではない」とも記し「とは言え、目の前に被害にあったと言われる方々がいらっしゃることを、私たちは大変重く、重く受け止めております」と伝えた。

99年に週刊文春がジャニー氏によるタレントへの性加害を報じる記事を掲載していた。ジャニー氏の性加害についてジュリー氏は「知らなかったでは決してすまされない話だと思っておりますが、知りませんでした」。長らくジャニーズ事務所では叔父のジャニー氏と母の藤島メリー泰子氏(21年に死去)の2人が全権を握っていたという。「その異常性に違和感を持つことができなかったわけで、ただただ情けなく、深く後悔しております」とした。

再発防止策として「コンプライアンス委員会」を設置し、これまで以上に取り組みを強化、徹底すると説明。社外取締役を迎え入れて経営体制も抜本的に見直すという。「既に告発された方」や「今後新たな相談をご希望される方」のために、外部のカウンセラーや有識者、弁護士や医師の指導のもと、外部の相談窓口を月内に設置するという。

<ジャニー喜多川氏の性加害問題をめぐる経緯>

▼99年 週刊文春がジャニー氏によるジャニーズ所属少年へのわいせつ行為を報じる記事を掲載。

▼2002年 記事で名誉を傷つけられたとし同事務所とジャニー氏が起こした訴訟で、東京地裁が文春側に計880万円の賠償を命じる。

▼03年 東京高裁が賠償額を120万円に変更。記事の真実性を認める。

▼04年 最高裁が同事務所側の上告を退ける。東京高裁判決が確定。

▼19年 ジャニー氏死去。ジュリー氏社長就任。

▼今年3月7日 英BBCが、ジャニー氏から性加害があったとする元所属タレントらの証言を報じるドキュメンタリー番組「J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル」を放送。

▼4月12日 オカモトさんが会見。ジャニーズに所属していた12~16年にジャニー氏から性被害を受けたと述べた。

▼5月11日 ジャニーズファン有志らが加害の検証などを求める署名を同事務所に提出。

○…ジュリー氏が表舞台やメディアに登場するのは、女優業引退後初めてだ。ジュリー氏はかつて女優として活動し、TBS系「3年B組金八先生」の第1シリーズ(79年)などに出演したことがあるが、女優業引退後は裏方に専念。TOKIOらのマネジャーを経て、母の藤島メリー泰子氏(21年に93歳で死去)とともにジャニーズ事務所の副社長を務めた。叔父のジャニー氏の死去に伴い、19年9月に社長に就任した。