横浜流星(26)が12日、日本ボクシングコミッション(JBC)のC級(4回戦)プロテストに合格した。

佐藤浩市(62)とのダブル主演映画「春に散る」(瀬々敬久監督、8月25日公開)でボクサーを演じるにあたり、自分自身がプロボクサーになる必要があったという思いが強く、宣伝活動が本格始動するこの段階で、プロテストの受験を決意し見事にライセンスを取得した。

この日、横浜は、フェザー級(57・15キロ以下)程度の体重で受験したという。「去年の4月から映画『春に散る』の役作りでボクシングを始め、そこからボクシングをずっと続けていました。反省点もありますが、やって来たものを全て出しきれたので今はホッとしてます」と喜びのコメントを発表した。

「春に散る」は、ボクシングに造詣が深いことで知られる作家・沢木耕太郎氏の同名小説の映画化作品。横浜は劇中で、不公平な判定で負けて心が折れていたボクサーの黒木翔吾を演じた。翔吾は、佐藤演じる不公平な判定で負けアメリカへ渡り40年ぶりに帰国した元ボクサーの広岡仁一と偶然、飲み屋で出会い、人生初ダウンを奪われたことをきっかけに、ボクシングを教えて欲しいと懇願。やがて2人は世界チャンピオンをともに目指し、命を懸けた戦いの舞台へと挑んでいく。

横浜は、11年の極真空手第7回国際青少年空手道選手権大会13・14歳男子55キロの部で優勝し、世界一になった。また「春に散る」と同じGAGA★配給の20年の主演映画「きみの瞳が問いかけている」でキックボクサーを演じた際は手、ヒジによる顔面への攻撃が認められるなど、極真空手とはルールも技術も違うキックボクシングの技術の習得のため、1カ月かけてキックボクシングのトレーニングを行った。「空手とは全く体の使い方が違うので、一からパンチ、蹴りの打ち方を学びました。プロの選手の方々に教えて頂き、10キロほど体重を増やしました」と肉体改造までした。そのため「春に散る」の撮影段階で、既にプロボクサーの技術が備わっていたという。

「春に散る」のボクシング指導・監修は、俳優兼トレーナーで14年「百円の恋」、17年「あゝ、荒野」、21年「BLUE/ブルー」、22年「ケイコ 目を澄ませて」など近年、高評価を得た映画でボクシング指導をした、松浦慎一郎(40)が担当。ボクシングアドバイザーには名門・帝拳ジムの田中繊大トレーナーと、プロボクシング元WBAスーパーフェザー級王者の内山高志氏(43)が名を連ねる。また、内山氏のワタナベジム時代の先輩の元日本ウエルター級王者・加山利治氏が会長を務める、EBISU K's BOXで練習したという。横浜は「K'sBOXの会長、松浦さん、川並さん、その他の方々のサポートが無ければ、結果は出せませんでした。本当に感謝の気持ちで一杯です。当日は空手をやっていた当時の気持ちを思い出し、久々に心が燃えました。あの時の気持ちをまたこうして味わえて、自分は本当に格闘技が好きなんだと再確認できました」と感謝した。

今後の展望については「翔吾の台詞に今しかねぇ。という台詞があります。本当にその通りなんです。人生一度きりで後悔を残したくないし、今を大切に生きたいと心に強く刻み自分も生きています。今回挑戦したことは、芝居でもこれから生きていくうえでも、必ず活きると信じています」と「春に散る」という作品と今回のプロテスト合格を、今後の俳優人生に生かしていく考えを示した。そして「魂を込めて創り上げた映画『春に散る』が1人でも多くの方の心に届き、自分の大好きなボクシングや格闘技がこれからもっともっと盛り上がることを心より願っています!」と訴えた。