乃木坂46が28日、神宮球場で、「真夏の全国ツアー2023」千秋楽公演を開催した。

グループ初の同球場4日間公演を締めくくった。1、2期生が全員卒業し3~5期生だけになって初めてのツアー。史上最少人数で臨んだ“聖地”のライブで、結成12周年でも衰えぬ勢いを示した。

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神宮球場ライブ歴代最少人数でのファイナルだったが、人数の少なさを全く感じさせない盛り上がりだった。チケットは完売し4日間計15・2万人を動員。結成から12年が経過しても、なぜ乃木坂46は大きく勢いを落とすことがないのか。

たとえば1期生の前キャプテン秋元真夏とエース齋藤飛鳥が11年以上在籍し「つなぎ」の期間をしっかり作ったことや、昨年2月加入の5期生が既にエース級の活躍をしていることなど、考えられる理由を挙げだせばきりがない。ただ、中でも大きな要因の1つは「人柄」ではないだろうか。

まずはメンバーの人柄だ。OGも含めて、いわゆる「いい人」が多い。16年に卒業した深川麻衣にいたっては性格が良すぎたあまり「聖母」と呼ばれていたほどだ。「謙虚で控えめ」というグループの印象は普遍的に変わらない。楽屋での「わちゃわちゃ」した雰囲気はグループの良き個性だ。この日の千秋楽でもスピーチしたメンバーが次々とメンバーやファン、スタッフへの感謝を真摯(しんし)に伝えていた。

続いてスタッフ。独断と偏見だが「優しい常識人」が多く、しかも長くグループに携わっている傾向にある。卒業した齋藤飛鳥が今年6月、インスタグラムで約12年間ともにしたスタッフ2人に向け「私を、我々を、導いてくれる人がおふたりだったからこそ、今こうして穏やかに過ごせているのだろうなあと思います」と感謝をつづっていたのが象徴的だ。初期から10年以上にわたり支えるスタッフも多く、裏方からも“乃木坂イズム”を継承し一貫性を持たせている。

そして、これまで何度か乃木坂46のファンを直接取材したこともあるが、やはり「いい人」が多かった。礼儀正しく、控えめ。ベテランスタッフも「うちのファンは本当にいい人が多い」と話していた。ライブでもメンバーが感極まると客席から温かい声援が飛ぶ。

「いい人」たちが、いい意味で変わらずに作り続けてきたグループが乃木坂46なのだろう。【横山慧】