京都芸術劇場は、両親に対する自殺ほう助の罪で起訴され公判中の歌舞伎俳優市川猿之助(本名喜熨斗孝彦)被告(47)が10月31日付で同劇場春秋座の芸術監督を退任し、11月1日付で舞踊家の藤間勘十郎(43)が就任したことを2日までに発表した。

同劇場を運営する京都芸術大によると、10月1日付で、猿之助被告本人から書面で「退任願」が学校側へ届いたといい、10月31日に「本学園の常任理事会ではかり、即日で退任届を受理した」と説明した。

猿之助被告は、13年5月から「京都芸術劇場 春秋座」の芸術監督芸術監督に就いていた。

大学側は、母親に対する自殺ほう助の容疑で逮捕された6月に、「猿之助被告が逮捕されたこの事実を重く受け止め、事実関係を確認の上、厳正に対処いたします」とコメントしていた。

猿之助被告は10月20日、東京地裁で行われた初公判で起訴内容を認めていた。両親を死なせた後悔と反省を述べると同時に、将来的には歌舞伎に復帰したい意志も示していた。検察側は懲役3年を求刑し、判決公判は11月17日に決まっている。

勘十郎は80年、三世藤間勘祖と梅若桜雪の長男として誕生。83年に藤間凌の名で初舞台。資真(すけまさ)、康詞(みちのり)の名を経て、02年に八世藤間勘十郎を襲名した。若手俳優の指導や公演プロデュースなども積極的に行い、14年には子供歌舞伎スクールの日本舞踊部門総括講師に就任している。

春秋座への出演経験も豊富で、大学側も「新しい芸術を作ってもらいたい」と期待している。