米オスカー女優のスーザン・サランドン(77)が17日、米ニューヨークのユニオンスクエアで開かれた親パレスチナ派の抗議集会に参加し、反ユダヤ主義的な発言をしたとしてハリウッドの大手エージェントから契約を解除されたことが分かった。

米ニューヨーク・ポスト紙が、サランドンが集会でマイクを手にスピーチする動画を公開し、ネットで拡散されていた。

サランドンは米映画「デッドマン・ウォーキング」(95年)でアカデミー賞主演女優賞を受賞するなど数多くの映画やドラマで活躍する一方、反戦運動や人権問題などの活動にも積極的で、左翼的見解であることでも知られている。

この日の集会でも多くの観衆を前に、10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲攻撃して以来、イスラエル軍による包囲と砲撃が続くパレスチナ自治区ガザ地区での停戦を呼びかけたサランドンは、「ユダヤ人であることに恐怖を感じている人がたくさんいる。この国でイスラム教徒であることがどのような感じか味わっている。イスラム教徒は頻繁に暴力にさらされている」と発言。これに対し、米国に住むユダヤ系のみならずイスラム教徒からも反発の声が上がり、ネットが炎上した。

イスラエル国連代表部のスピーチライターを務めたこともあるアビバ・クロンパス氏は、「米国にいるユダヤ人は、嫌がらせや暴力を受けずに生きる資格がないと言っているようなものだ」と批判。また、イスラム系米国人作家アスラ・ノマーニ氏もX(旧ツイッター)で、自身と家族が米国で享受した自由や新たな人生について共有して反論。「イスラム教の国で、イスラム教徒の女性のように暮らしてみてください。米国に戻って、足もとの大地にキスをするでしょう」とつづって非難した。

サランドンは、他にも「反ユダヤ主義とイスラエルに対して声を上げることが混同されて、恐ろしいことが起きている」とも話し、両者を混同すべきではないとも述べていた。

契約解除はSNSで一連の発言が注目を集めたことが発端とみられるが、ロサンゼルス・タイムズ紙によると2014年から契約していたユナイテッド・タレント・エージェンシー(UTA)は21日、サランドンとの契約解除を認めたものの、理由など詳細は明らかにしていないという。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)