キネマ旬報社は1日、2023年第97回キネマ旬報ベスト・テンを発表し、役所広司(68)が「PERFECT DAYS」「ファミリア」「銀河鉄道の父」で主演男優賞を受賞した。96年、97年、21年に続き4度目の受賞となる。

また「PERFECT DAYS」は、ドイツのヴィム・ヴェンダース監督(78)も日本映画監督賞を受賞し、2冠に輝いた。役所は「今年も素晴らしい俳優さんたちが活躍された中で、世界の中でも長い歴史を持つ『キネマ旬報賞』を4度目の受賞、本当に幸運な男だと思います。良い脚本と良い監督が存在しなければ俳優一人では何も出来ません。この出会いと今まで自分に影響を与えてくれた沢山の人達に心から感謝します」とコメントした。

主演女優賞は、主演のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」も放送中の趣里(33)が、5年ぶりの主演映画「ほかげ」(塚本晋也監督)で初受賞した。「歴史ある賞をいただき、とても光栄です。自分の中では何一つ変わらないのですが、おかげさまで、自分にできることをやって皆さんに『よかった』と言っていただければそれでいい、と思える一年となりました」とコメントした。また「ほかげ」は、8歳の塚尾桜雅が史上最年少で新人男優賞を受賞し、2冠を獲得した。

作品賞では、日本映画ベスト・テン第1位に「せかいのおきく」が輝いた。阪本順治監督(65)は、00年、11年、19年に続き、4度目の日本映画脚本賞を受賞し「せかいのおきく」も2冠を獲得した。

また、16年に起きた障がい者殺傷事件をモチーフにし、話題と論議を呼んだ「月」(石井裕也監督)からは、磯村勇斗(31)が助演男優賞、二階堂ふみ(29)が助演女優賞を受賞と2冠に輝いた。同作は、日刊スポーツ映画大賞で作品賞、監督賞、助演男・女優賞の4冠、ブルーリボン賞でも石井裕也監督(40)が監督賞と、国内の映画賞を総なめ状態だが、キネマ旬報ベスト・テンでも存在感を示した。

受賞者・作品は以下の通り。

<作品賞>

日本映画ベスト・テン第1位 「せかいのおきく」(監督:阪本順治/配給:東京テアトル、U-NEXT、リトルモア)

外国映画ベスト・テン第1位 「TAR/ター」(監督:トッド・フィールド/配給:ギャガ)

文化映画ベスト・テン第1位 「キャメラを持った男たち-関東大震災を撮る-」(演出:井上実/配給:記録映画保存センター)

<個人賞>

日本映画監督賞ヴィム・ヴェンダース(「PERFECT DAYS」)

日本映画脚本賞 阪本順治(「せかいのおきく」)

外国映画監督賞 トッド・フィールド(「TAR/ター」)

主演女優賞 趣里(「ほかげ」)

主演男優賞 役所広司(「PERFECT DAYS」「ファミリア」「銀河鉄道の父」)

助演女優賞 二階堂ふみ(「月」)

助演男優賞 磯村勇斗(「月」「正欲」「渇水」「最後まで行く」「波紋」「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-運命-」「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-決戦-」)

新人女優賞 アイナ・ジ・エンド(「キリエのうた」)

新人男優賞 塚尾桜雅(「ほかげ」)

読者選出日本映画監督賞 瑠東東一郎(「Gメン」)

読者選出外国映画監督賞 マーティン・スコセッシ(「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」)