歌舞伎俳優片岡仁左衛門が80歳の誕生日を迎えた14日、都内で、日刊スポーツなどの取材に応じ、今後も役を追求していく思いを語り、「傘寿(さんじゅ)も30(歳)も変わらない」と、年齢を笑い飛ばした。
「四月大歌舞伎」(2~26日まで、歌舞伎座)で出演する「神田祭」の役柄の似顔絵入りケーキで祝福されると、仁左衛門は「もうちょっとええ男に…」と笑わせ、喜んだ。若々しく、かっこいい。何か方策、秘密があるのかと問われると、照れ笑いし「全然ないですよ。自分が年を取っているのが分からない。ちょっと疲れることで年を取ったのかな、前回の役ではここまで疲れなかったのに、というのはありますが、精神的には、まったく年齢って分かってない」と話した。
さらに「先輩たちの80歳って立派で重みがあった。それに、昔の先輩方はほとんど60代、70代で亡くなっていて、私の歳までいらっしゃらないのに、はるか上やもんね。(自分は)情けないけど、まだ伸びしろがある」と笑った。
今後の伸びしろはどこに向かうのかと聞くと「役の追求です」と即答。「三月大歌舞伎」(26日まで、歌舞伎座)の「元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿」では、当たり役の1つである綱豊を務めているが「今月初めて気付くこともある」と新鮮な気持ちで臨んでいる。例として、赤穂浪士の富森助右衛門と対面する場面の綱豊のせりふをいくつか言ってみせた。わずかな違いが、心境を際立たせる。「この歳になって気付くわけですよ。情けない」と言いつつ、楽しげだ。
4月は坂東玉三郎とのコンビで、「神田祭」に加え、「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)」に出演する。悪事を働く夫婦を描いた物語で、仁左衛門が演じる鬼門の喜兵衛が咲かせる悪の華が見どころだ。
53年前の初演時は、自分に合っていないキャラクターだと思っていたこともあり嫌だったというが、今では「やって良かった。お役が広がった」という思い入れのある役だ。
陰惨な場面もある「於染久松-」から一転、「神田祭」では粋な鳶頭を演じる。色男代表のような役柄に、仁左衛門は「ある程度はうぬぼれないと、照れくさくてやってられない」と笑う。
注目度、人気度ともに抜群の玉三郎との共演には「一番気心が知れている。芝居に対する気持ちが通じ合うんです。いつも彼と言ってるんです、ありがたいねって」と語った。
役を追求し、進化し続ける仁左衛門の舞台は必見だ。



