全国のショッピングセンターで展開する国内最大級のシネコン「イオンシネマ」は18日までに公式サイトで、車いすの来場者に向けたスタッフのサポート方法について、Q&Aのページで明文化した。同社をめぐっては「車椅子インフルエンサー」として活動する女性による鑑賞時のスタッフの対応についての投稿が騒動化し、同社が謝罪していた。

同社公式サイトでは「よくあるご質問」のページの「バリアフリー」のコーナーで「車いすには対応していますか」との質問に回答。同社は、基本的にスロープや車いすスペース、車いす用のトイレをご用意していることや、劇場によっては用意のない設備やスペースに限りがあることを説明した。その上で「お座席への移動については、安全性の確保の観点から、弊社スタッフが車いすやお身体を持ち上げる対応は控えさせていただきますが、スタッフの肩や手でサポートすることは可能ですので、お気軽にお声掛けいただけますと幸いです。移動される際のお座席は、お客さまとお話した上で非常時のお客さまの安全を考慮した座席を提案させていただきます。お座席への移動が難しい場合は、車いすスペースにて、車いすのままご鑑賞いただきますよう重ねてお願い申し上げます」と記した。

同社をめぐってはこれまでに、「車いすインフルエンサー」として活動する中嶋涼子氏が先月、過去に複数回利用したことのあるイオンシネマでの鑑賞時に、従業員から「この劇場はご覧の通り段差があって危なくて、お手伝いできるスタッフもそこまで時間があるわけではないので、今後はこの劇場以外で見てもらえると、お互いいい気分でいられると思うのですがいいでしょうか」と言われたことをXに投稿。当該劇場が「グランシアター」と呼ばれる最上級劇場で、車椅子席が設置されておらず座席までに階段がある中、インフルエンサーの女性は過去にスタッフからの声かけで、座席まで階段を運んでもらうことを快諾された経験があったことなどを説明し、議論が巻き起こっていた。

中嶋氏の投稿をめぐっては「イオンシネマ」公式X(旧ツイッター)で同月、「弊社従業員による不適切な対応に関するお詫び」と題したメッセージを掲出。運営会社「イオンエンターテイメント株式会社」の署名のもと、「この度は弊社従業員によるお客さまへの不適切な対応につきまして、お客さまおよび関係者の皆さまにご不快の念をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます」と謝罪。中嶋氏とイオンシネマ側は後日、話し合いの場が設けられ、意見交換したことなども明かされていた。