歌手森進一(60)が再び「おふくろさん」を歌えるようになった。6日、都内で作家の故川内康範さんの長男(60)と森が共同記者会見を行い、和解成立を発表した。川内さんが昨年2月に歌唱禁止を突き付けてから1年8カ月ぶりに封印が解かれた。

 騒動の発端は06年のNHK紅白歌合戦。森が「いけない息子の僕でした」などと原曲にない冒頭詞を入れて「おふくろさん」を歌ったことだった。「無断で変えた」と激怒した川内さんが、森に歌唱禁止を通告。森も「川内作品を封印します」と宣言し、「おふくろさん」など川内作品33作すべてを人前で歌うことをやめていた。

 長男は「解決に乗り出したのは自分。川内は怒りの拳をおろすタイミングを失って今年4月に亡くなった。成仏してもらうためにも、封印を解きたかった」と説明。9月から動きだし、10月31日に森が合意文書に署名した。条件は「(33曲とも)原曲通り歌うこと」だった。「うれしいというよりも、ありがたく重く受け止めている。これまで以上に心を込めて歌いたい」と森は神妙に話した。解禁のタイミングは、騒動の発端となった今年の紅白も考えられる。それでも、森は「これからのことは分かりません」とだけ話した。

 川内さんのヒット作「月光仮面」のセリフに「憎むな、殺すな、許しましょう」がある。名曲が永遠に封印されそうな危機を、“平成の月光仮面”となった息子が救った。