歌手近藤真彦(47)の父正勝(まさかつ)さんが14日深夜に、都内の病院で胃がんのため死去していたことが18日、分かった。69歳だった。通夜は16日、葬儀・告別式は17日に、神奈川県内の斎場で近親者のみで行われた。

 関係者によると、闘病生活は1年半以上にわたったという。近藤は、自宅近くの病院に入院した父を、可能な限り毎日、見舞いに訪れた。最期は近藤ら家族がみとったという。苦しむことなく、眠るように息を引き取った。関係者によると近藤は「自分の47年の人生で、この1年半が一番、父親との時間を長く持てました」と話していたという。

 近藤は86年11月、母美恵子さん(享年42)を交通事故で亡くしている。お母さん子だっただけに悲しみは深かったが、真っ先に父を心配した。「おやじのことを思うとやりきれない」と話したこともあった。

 87年12月、母の遺骨が盗まれた。所属事務所や所属レコード会社に、「遺骨を返してほしければ、日本レコード大賞の出席を辞退しろ」と書かれた脅迫状が送り付けられた。悩み抜いた末、授賞式に出席し、シングル「愚か者」は大賞を受賞した。ステージでは号泣した。トラブルの経緯は翌88年1月に公表したが、実は正勝さんの言葉に背中を押され、授賞式出席を決めていたという。

 近藤は、10年に放送されたTBS系「中居正広の金曜日のスマたちへ」にゲスト出演し、悩んでいた時に正勝さんに相談していたことを明かした。正勝さんに「自分がこういう仕事をしているから遺骨がトラブルに遭った。ごめんなさい」と土下座して謝罪した。すると正勝さんは近藤を抱きしめた後、「お母さんはきっと(授賞式には)出なさいと言うと思う」と話したという。近藤にとって、家族の絆を強く感じた瞬間だったという。