将棋の最年少6冠、藤井聡太叡王(竜王・王位・棋王・王将・棋聖=20)が菅井竜也八段(31)の挑戦を受ける、第8期叡王戦5番勝負第3局が6日、愛知県名古屋市の「か茂免」で行われ、先手の藤井が163手で逆転勝ち、対戦成績を2勝1敗として3連覇へあと1勝とした。タイトル2期目を目指す振り飛車党の菅井はかど番に追い込まれた。第4局は28日、岩手県宮古市「浄土ヶ浜パークホテル」で行われる。

本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段(83)が対局を振り返ります。

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一見、大接戦に思えますが、藤井叡王がスピード争いで勝ちきった感じです。終盤のつばぜり合いが巧みでした。惜しげもなく金、銀を打ち込んで正確に自玉の安全を図ったと思ったら、相手陣の詰みを読み切っていました。攻防の読みが一枚上でした。

そこに至るまでの74手目、菅井八段の後手8六金に先手同歩として角金交換に応じた後、76手目の後手2八角~後手1九角成と馬を作ったのに対し、79手目先手6三銀成と地道に入ったのが非凡。さらに91手目の先手6三歩成を拠点とした上、悠長な手に思える先手2二角(117手目)が最終的に攻防に働いてくるのですから、相当自信を持っているのでしょう。絶好調とみました。

三間飛車を3局連続で採用した菅井八段は、後がなくなりました。先手番の第4局こそ、昨年8月のA級順位戦で藤井叡王に快勝した「ゴキゲン中飛車」に命運を託すかもしれません。(加藤一二三・九段)

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