5連覇を目指す藤井聡太王将(23)が挑戦者の永瀬拓矢九段(33)に1勝3敗とかど番で迎える、将棋のALSOK杯第75期王将戦7番勝負第5局(栃木県大田原市「ホテル花月」)は8日、47手目を先手の永瀬が封じて初日を終えた。午前9時からの2日制で始まった対局は角道を開けた先手の永瀬に対し、もう負けられない藤井が角換わりを拒否。手探り状態の局面に持ち込むと相居飛車から永瀬が踏み込んで、すでに戦いが始まっている。2日目の9日は午前9時から再開される。
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もう負けられない藤井が自身のエース戦法で、永瀬も得意としている角換わりを外した。伊藤匠叡王(王座=23)への挑戦権を争う、5日の叡王戦本戦準決勝(東京・千駄ケ谷「将棋会館」)で永瀬と対戦した時、藤井は角換わりから後手3三金型を採用して完敗。全冠復帰の道を断たれた。今回、同じ後手で二の舞いになるのを避けたか、力勝負へと誘導した。
シリーズ前、永瀬は「角換わりは真剣。それ以外は木刀」と称した。角換わりは一撃を浴びせられると、一瞬で勝負が決着する戦法だということは藤井もよく知っている。しかも今回の7番勝負は、同時進行で増田康宏八段の挑戦を受けて1勝2敗と「ダブルかど番」の棋王戦5番勝負とともに、精彩を欠いている。あえて永瀬の主張を避け、別の作戦をぶつけたとみられる。
7日に大田原市内で行われた前夜祭でも、いつものスピーチを避けていた。最近よく、「面白い将棋をお見せしたい」と決意表明で語っている。今回は、「苦しい状況ですが、少しでも長く続けられるように、目の前の1局に集中する気持ちで2日間指していけたら」と話すにとどまった。
しかも、前夜祭に入場する際には動線を間違えた。入り口からまっすぐ進むことになっていたが、入ってすぐ左に曲がってしまい、気づいた案内のスタッフから呼び止められて戻るハプニングもあった。
これが、対局に集中するあまり忘れてしまったことなのか、「心ここにあらず」だったのか。結果は9日に判明する。

