内が有利な馬場とは聞いていたが、1~4着までがすべて7番枠以内という結果になった。このトラックバイアスを頭に入れて積極的な競馬をしたのが、絶好の1枠2番を引いたジャンダルムの荻野極騎手だ。

以前は差し馬のイメージもあったが、好スタートを決めると迷いなく前へ出していった。うまかったのは最初の100メートルのコース取り。すぐに内ラチ沿いには付かず、1頭分のスペースを開けて走らせた。逃げ宣言のテイエムスパーダが内から追い上げてくるのは分かっている。巻き込まれれば体力を消耗する。だから、あえて内の進路を閉めずに前へ行かせた。

前半600メートルは32秒7。特に2ハロン目は10秒1の高速ラップ。ここでテイエムスパーダ、ファストフォースの2頭が抜け出すと、その直後でしっかりと「ため」を作った。もしラチ沿いを締めて、テイエムに後ろから突かれたり、外へ切り替えられて競られたら、ゴール前の踏ん張りは利かなかったかもしれない。

4角では前2頭の間をすり抜けるように進出。少し早めのスパートだが、切れ味勝負では厳しい。後続の有力馬を動かしながら、ぎりぎり脚を残した。2着ウインマーベルとは首差。荻野極騎手の展開を読んだコース取りと、巧みな仕掛けが首差の接戦を制した大きな要因だ。

中山11R、スプリンターズSを制したジャンダルムをねぎらう荻野極騎手(2022年10月2日撮影)
中山11R、スプリンターズSを制したジャンダルムをねぎらう荻野極騎手(2022年10月2日撮影)