ドゥレッツァのルメール騎手は、3000メートルで2つの異なるレースをした。前半はポジションを取るために出していき、後半は自慢の決め手を生かす乗り方だ。逃げ馬が不在でペースが落ち着くのはある程度予測できた。大外17番で中途半端に抑えれば、馬群の外々を回るロスが生じる。だから、走りのリズムに合わせて前へ。いったん先頭に立ってラチ沿いに付けば、あとは他馬の出方次第でどうにでもなる。

1周目坂の下り、スタンド前の大歓声。折り合いに不安のある馬なら、この乗り方は難しいかもしれないが、ドゥレッツァは2走前のホンコンJT(東京2000メートル)でも、前半61秒9のスローペースにきっちり折り合っている。掛かる心配がない。人馬の信頼関係があったから、思い切った作戦が取れた。

2周目1コーナー、先頭で通過するドゥレッツァ(撮影・和賀正仁)
2周目1コーナー、先頭で通過するドゥレッツァ(撮影・和賀正仁)

向正面では後続を誘うかのようにペースを落としてリビアングラス、パクスオトマニカに前を譲る。ここが切り替えのタイミング。ためれば32秒台の脚が使える馬。レース中盤(1200~1600メートル)で13秒台に落ちると、力を温存して瞬発力勝負に備えた。もし、先頭のままペースを上げていけば、これだけ切れる脚は使えなかっただろう。

2周目向正面でドゥレッツァ(左)はいったん先頭を譲った(撮影・和賀正仁)
2周目向正面でドゥレッツァ(左)はいったん先頭を譲った(撮影・和賀正仁)

直線は3枠2頭の間を突いて一気に勝負を決めた。最後の4ハロンを11秒台でまとめられては後続もお手上げだ。ドゥレッツァの操縦性の良さを生かしたルメール騎手の巧みなコントロールが、重賞初挑戦でのG1制覇につながった。

直線抜け出して菊花賞を制したドゥレッツァ。鞍上のルメール騎手はガッツポーズを見せる(撮影・白石智彦)
直線抜け出して菊花賞を制したドゥレッツァ。鞍上のルメール騎手はガッツポーズを見せる(撮影・白石智彦)